さらに意外な落とし穴は、リモートワークによる影響だ。かつてであれば新人は近くの席で働く先輩たちの動きを見て真似ることができた。手取り足取り教えなくても、明確に指示がなくてもヒントがあった。しかし、リモートワークがすっかり定着した企業では、先輩たちと一緒の空間で働く経験自体が少ない。この変化を前提に、上司は新入社員をケアしたほうがいい。上司としては「失敗してもいいよ」と寛容な気持ちで言ったことだとしても、本人をただ悩ませるだけ。無理難題を押し付けられたと感じて余計に悩んでしまう。
そのため、何か大きなチャレンジをさせたいときでも、小さなタスクに分解して少しずつ仕事を渡し、ある程度の道を示しながら一歩ずつ挑戦させていったほうが、彼らにとって意義のある学びになりやすい。また、この仕事にはどんな意味があるのか、細分化した仕事にも、何が身につくのかと、意義づけを丁寧にあわせていくことも大切だ。
心理的安全性を勘違い?自己開示が行き過ぎて自慢話に
そして、意外と気づかないのが「心理的安全性」の勘違いだ。心理的安全性の高いチームとは、組織の中で自分の考えや気持ちを率直に話せる状態のこと。逆に心理的安全性が低いと、迷惑をかけるのではないか、否定されるのではないかという空気感がチームに流れており、自由に意見が言えない環境がかえってミスを誘発し、組織の成果を小さくしてしまう。それを避けるために、気兼ねなく発言ができるチームをつくっていこうという考え方自体は、ここ数年でかなりメジャーになったのではないだろうか。
心理的安全性の高い組織にするために、まず上司が腹を割って話すというのは確かに効果的なアプローチだ。上下の関係にとらわれず、フラットに相互理解を深める意味で、過去の失敗談などを話すこともあるかもしれない。ただし、ここで注意してほしいのが、上司は自己開示をしているつもりで、新入社員からすると過去の武勇伝を聞かされているように感じてしまう可能性があるということ。「俺の時はこうだった。(だからお前たちもこうしろ)」と聞こえているとしたら、逆効果だ。
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