中東より北朝鮮を心配せよ、世界が最も恐れるべきリスクは朝鮮半島《田村耕太郎のマルチ・アングル・ビジョン》


 一部のメディアや識者の間で中国への影響を心配する声がある。「第二天安門事件だ!」という感じで。私は中国はサウジ以上にびくともしないと思う。ネットの検閲の技術や体制は世界一だし、野党も皆無だ。大きなデモを起こすだけの市民集団の受け皿もない。

エジプト革命を好機ととらえ、米国はクリントン国務長官を使い、インターネットの自由化を先日訴えた。この標的は間違いなく中国とイランだろう。中国では在北京のアメリカ大使館が、中国版ツイッターであるテンセントを使って、クリントン長官のメッセージやエジプトの情勢に関する情報を拡散させようとした。もちろん、これは中国政府の検閲に引っかかり数時間で消去されることになる。まったく意味がなかった。

余談ではあるが、この機会に米国の中国のネット検閲に対する姿勢は、少し現実的対応に変化してきた。中国に、“報道や集会の自由”というような「思想」で切り込んでも無駄だ。価値観が違うので一蹴されるだけだ。
 
 それに気づいたのか、今回は「ソーシャルメディアが生み出す経済的価値を失うことになる」と“経済的価値”に的を絞って働きかけ始めた。これは正解であろう。

損得で動かない北朝鮮

これまで述べてきたように、中東も中国もびくともしない。今年危ないのは北朝鮮だ。これはエジプトとは関係ない。一言でいえば、“何をするかわからなくなってきている”のだ。
 
 私は、政治家時代、北朝鮮には「瀬戸際外交をうまく活用する交渉上手」というイメージを持ってきた。今まではそうであろう。日本の識者も北朝鮮の損得勘定を根拠に楽観的に構えている人も少なくない。これまではその分析で正しい。
 
 しかし、北朝鮮は計算で動けるほど一枚岩ではないようだ。重病の指導者が息子への権力継承に相当神経質になっている。軍や政権内部の権力継承への支持が万全ではないからだろう。そのため危険な賭けに出てくる可能性がある。

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