茨城サザコーヒー、たった16店で放つ存在感の神髄 都内4店目の新橋出店、「徹底した差別化」の裏側

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また、サザコーヒーは史実を踏まえた商品開発も得意だ。そのきっかけが、2003年に発売した「将軍珈琲」(当時は徳川将軍珈琲)。江戸幕府最後の将軍・徳川慶喜(水戸徳川家の第9代藩主・徳川斉昭の7男)の逸話にちなんで開発した。太郎氏の発案で、慶喜の直系のひ孫・徳川慶朝(よしとも)氏が焙煎を担当した話題性も手伝い、大ヒット商品となった。

最近では、2021年1月に発売した「渋沢栄一仏蘭西珈琲物語」(1杯取り×5袋で税込み1000円)がNHK大河ドラマ効果もあり、大いに売れた。この商品の開発は誉志男会長だ。

父子の取り組む方向性は違い、父は主に「地方性と伝統」、息子は「本物の価値の共有」で訴求する。共通するのは「他店との文化的差別化」「地方のコーヒー屋の生き残り策」だ。

攻め続けたからこそ、生き残れた

外食産業の一角を占める喫茶業界は、個人経営の店(個人店)も多く、コロナのずっと前から店舗数を減らしてきた。国内の喫茶店数のピークは40年以上前、1981年の15万4630店だった。それが最新の2016年調査では6万7198店(※)と半分以下になった。

(※)総務省統計局「事業所統計調査報告書」「経済センサス」を基にした全日本コーヒー協会の資料による

コロナ禍の外出自粛による外食不振もご存じのとおりだ。ただし見方を変えればチャンスで、うまくいけば先手必勝にも通じる。サザコーヒーも次の一手を考えている。創業50年超の同社にも課題は残るが、攻め続けたからこそ生き残り、業界で注目される存在になったのだろう。

本店カウンターのコーヒー豆、右上が「渋沢栄一仏蘭西珈琲物語」(2021年、筆者撮影)
高井 尚之 経済ジャーナリスト、経営コンサルタント

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たかい なおゆき / Naoyuki Takai

学生時代から在京スポーツ紙に連載を始める。卒業後、日本実業出版社の編集者、花王情報作成部・企画ライターを経て2004年から現職。「現象の裏にある本質を描く」をモットーに、「企業経営」「ビジネス現場とヒト」をテーマにした企画・執筆・講演多数。近著に『なぜ、人はスガキヤに行くとホッとするのか?』(プレジデント社)がある。

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