茨城サザコーヒー、たった16店で放つ存在感の神髄 都内4店目の新橋出店、「徹底した差別化」の裏側

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繁盛店だった同社も、2020年4月、コロナ禍の最初の緊急事態宣言により商業施設内の店舗が営業休止。さらに外出自粛で大打撃を受け、大幅な赤字状況に陥った。

「生き残るために『本業の価値』や『地域特産の価値』『飲食業界の価値』など、それぞれの価値創造を考えていました。サザコーヒーは茨城県に育てられた店で、茨城を大切にしつつ、メインの商品、特にコーヒーの本質的な価値が重要だと考えました」(太郎氏)

感覚的に行動するイメージが強い太郎氏だが、コーヒーへの情熱は熱い。商品の価値訴求を決断すると、次の信条を掲げた。

(下図参照、外部配信先では図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください)

2833万円で購入した高額豆を、1杯500円で提供

図表の事例を補足説明しよう。

現在、「パナマゲイシャ」(中米パナマ産のゲイシャ品種)という最も評価が高いコーヒー豆がある。その価値を積極的に日本に広めているのも太郎氏だ。一般社団法人日本スペシャルティコーヒー協会(SCAJ)理事兼コーヒーブリュワーズ(競技会担当)委員長も務める。

2021年9月に行われたパナマ産ゲイシャのオークションでは、100ポンド(約46キログラム)の豆を約2833万円(当時のレート換算)という史上最高値で落札した。

輸送費、検疫費、焙煎費や利益を勘案すると、コーヒー1杯3万6000円で出さないと採算が合わない。これほど高額なコーヒー豆を、時に「しあわせの共有」(同氏)という商品価値の1つとして提供する。

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