就活生はなぜ「研修制度」について質問するのか 採用現場でも発揮される「いい子症候群」的行動

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企業説明会で最も多い質問の1つがこの「研修制度ネタ」であることは有名な話だ。決して筆者のせいではないが、大学教員として申し訳なく思ってしまう。本当にごめんなさい。

とくに最近の大学生は、会社のことを「きっちりと固定化された仕組み」のように考える傾向にある。そうであってほしいという彼らの願望も含みつつ。そのあたりの感覚が、この質問に表れている。類似した質問として、

「どのような資格があると、仕事に生かせますか」

「配属希望はどのような仕組みになっていますか」

などがある。

そんなことしか聞くことがないのか。

大体、資格の勉強なんて必要なときに必要なだけやるに決まってるだろ。配属なんて半分は会社の都合で、残り半分は自分次第。ルーチンの仕事をやってるだけで給料もらえるとか本当に思ってるの?!

──という採用担当者の皆さんの心の声が、ここまで聞こえてくる。

もちろんそんな心の声は口には出せない(皆さんは大人です)。若くて安価な労働力確保は会社にとって不可欠だからだ(皆さん本当に大人です)。つまるところ、就職活動は学生と企業のだまし合いの場である。

ただ、研修制度について質問する学生側にも言い分はある。

彼らは会社に対してよくこう不満を漏らす。

「何をすればいいかが曖昧でよくわからない」

「いつまでにどの知識やスキルを身に付けておけばいいのか、一向に教えてくれない」

どうも多くの若者の間では、高校や大学の入試、あるいは資格取得のように、仕事には何らかのガイドラインやマニュアルがあると考える傾向にあるようだ。仕事ができるようになるということは、マニュアル的知識やスキルを身に付けていくことだと考える若者も少なくない。

そのため、マニュアルがない会社、研修がない会社、先輩が何も教えてくれない会社、「わからなかったらいつでも相談して」と言う(学生からすると)理不尽な上司がいる会社は、総じてよくない会社となる。会社説明会で研修制度のことばかり質問するのは、こうした理由もある。

上司からの質問を同期に相談する

そんな就職活動の末、晴れて入社したとしても、むろん若者たちの気質がすぐに変わるわけではない。

最近よく聞く、こんな話がある。

ある新人が、複数の同期といる中で、上司から名指しで質問を受けた。

「最近の若者のSNSの使い方について、君はどう思う?」

このとき、今の若者たちは真っ先に、どう返答するのが正解かを考える。

統計的に最も多いリアクションは「固まる」だ。森でクマさんに遭遇したときと同じ。一生懸命考えているからではない。一生懸命考えている姿勢を見せることが正解だから、だ。固まっていれば、相手から何らかの動きがある。場合によっては、答えを言ってもらえるか、あるいは質問が取り下げられるか。いずれにしても、その場は一件落着だ。

彼らは、中学、高校、大学と「固まる効用」を経験として学習している。向こうがしびれを切らすまで待て、が正解なのだ。

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