今の若者が「とにかく差がつく状況が苦手」な理由 横並び主義が生む完全一律な平等分配思考

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学生たちの平等思考とは(写真:horiphoto/PIXTA)
最近、「成功した人もしない人も平等にしてほしい」と要求する若者が増えているらしい、と聞いたらあなたはどう思うだろうか。
新著『先生、どうか皆の前でほめないで下さい』で複雑な若者心理に迫った金間大介氏は、イノベーションとモチベーションの研究家だ。金沢大学と東京大学で教鞭を取り、若者と日々接している著者の金間大介氏は、単に皆で何かを一緒に食べるといったシチュエーションでも学生たちの平等思考を思い知らされるという。その例が「大皿料理」や「ホールケーキ」を前にしたときの反応だ。

とにかく差がつく状況が苦手

突然だが、大半の大学生は大皿系の食事が苦手だ。どうしてもきれいに均等分配できないからだ。

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コストコで巨大なホール型ティラミスを買ってきたときなどは大変だ。それを11人でシェアするときなどはますます大変だ。そもそも誰も切り分けようとはしないし、嫌々切り分け係になった人は、いかにしてきっちり11等分するかで四苦八苦する。

私は今の若者の心理的特徴を『先生、どうか皆の前でほめないで下さい』の中で分析し、「いい子症候群」というフレーズがぴったりくるという結論に達した。いい子症候群の特徴はいくつもあるが、その1つが、とにかく差がつく状況が苦手であるということ。特に過敏に反応するのが「自分だけが何らかの利益を得る」状態だ。

円型をきっちり11等分しようとするのも、少なくなった人がかわいそうというより、多くなった人の気まずさを意識してのものだ。

さて、ここでクイズを1つお出ししたい。次の4つの選択肢のうち、あなたはどれが最も公正な分配だと思いますか?

① 平等分配
② 必要性分配
③ 実績に応じた分配
④ 努力に応じた分配

選択肢について少し解説すると、①平等分配とは、その名から連想されるとおり、年齢や性別、個々の能力などの個人差をすべて無視し、完全一律に分配することを指す。最もシンプルでわかりやすい分配方法であると言えよう。

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