「知床遊覧船」社長会見に強烈な怒りが募った訳 ずさんな姿勢が露呈、10秒の土下座も意味なし
逆に、謝罪の意を感じさせる話し方でなければ、“怒りの感情を増幅させるための時間”になってしまうだけ。言わば、桂田社長は冒頭の数分間で、自らをますます追い込んでしまったのです。
「条件付き運行」「船長判断」の是非
質疑応答がはじまると、やはり焦点になったのは、「波浪注意報が出され、天候悪化が予想される中、なぜ出航したのか」。
この質問に桂田社長は、「(船長の)豊田氏から『午後の天気が荒れる可能性があるが、10時からのクルーズは出航可能』と報告がありました。ウトロでは風と波も強くなかったので、海が荒れるようであれば引き返す“条件付き運行”ということを豊田氏と打ち合わせ、当時の出航を決定しました」と釈明しました。
ここで「注意報が出される中、“条件付き運行”が許されるものなのか」「海の上では何よりも安全第一のはずではないのか」と思った人は多いのではないでしょうか。この時点で会見を見ている人々に「安全よりも利益重視の社長」と感じさせてしまったのです。
さらに“条件付き運行”で引き返すときの明確な基準を尋ねられた桂田社長は、「“船長判断”なのでございません」とコメント。続けて「『行けるか行けないか』の判断は豊田さんに任せていたということか?」と確認されると、「基本的に船のどの会社も最終的には“船長判断”だと思います」と繰り返しました。しかし、“船長判断”を繰り返して強調したほか、他社を引き合いに出したことで、「責任逃れしたい」という印象が一気に濃くなってしまったのです。
案の定、記者から「船長に責任を押しつけているのでは?」と問いかけられた桂田社長は、「『責任を押しつけている』ということではなく、『ちょっと頼りすぎていた』というところです」とコメントしました。
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