子供がほしいカップルが知るべき「排卵日」の真実 いずれ…と思う人の卵子凍結にも意外な事実が

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AMHの数値は個人差が大きく、20代でも低い方がたくさんいます。年齢と妊娠しやすさには相関関係があることは事実ですが、もし卵子の数が少ない人が「私は若いからまだ大丈夫」とのんびりしていると、あっという間に卵子がなくなってしまいます。だからこそ、AMH検査を受けることが大切なのです。

もう1つ、年をとることによって女性ホルモンの分泌量が低下することも、不妊の原因として考えられます。

妊娠するためには排卵によって卵子が毎月放出されることが必要です。排卵や妊娠のためには、女性ホルモンが分泌されることが必須条件となりますが、この分泌量は、年齢とともに変化します。産まれてから思春期、成熟期と上昇し続けますが、22~25歳くらいにピークを迎え、しばらく一定の分泌量をキープして、35歳くらいからゆるやかに下り始めます。

年を重ねることで卵巣の働きが衰えてくることも、女性ホルモンの減少を引き起こす原因です。このような理由で、一般的に30代後半になると妊娠しづらくなるのです。

若いうちに卵子を凍結すればいいのか?

年をとるにつれて卵子の数が減ってしまうなら、「卵子を保存できればいいのに」と考える人は多いでしょう。もしかすると「卵子凍結」という言葉を思い浮かべる人もいるかもしれません。

卵子凍結とは、受精していない状態の「未受精卵」を女性の身体から採取し、凍結しておくこと。現状は出産する予定はないものの、将来子どもが欲しくなったときに若くて健康な卵子を凍結しておくために行われます。

メディアなどで、卵子凍結について取り上げられたり、有名人が卵子を凍結したことを公表したりしているため、多くの人に知られるようになってきました。

では、若い人が卵子を凍結すれば、将来必ず子どもができるかというと、実はそうとも限らないのです。

アメリカ生殖医学会の学会誌の報告によると、凍結卵子を使用した場合の体外受精の出産率は、30~36歳で8%、37~39歳で3%。対して、日本産科婦人科学会のデータでは、通常の体外受精の出産率は前者が約20%、後者が約15%であることを考えると、非常に低くなっています。

卵子凍結には、毎年高額な保管料を払う必要がありますが、実際には凍結した卵子を使って出産する人はかなり少ないという現実もあります。凍結した卵子を融解後に精子と受精させて、子宮内に移植するため、通常に行われている体外受精より妊娠率が低くなるためです。

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このように、あまり有効性が高くないという現状があるため、実施する人は「将来のための保険」と思っていることが多いようです。

また、凍結した卵子の中に、妊娠できる「質のいい卵子」があるかどうかは顕微授精を行ってみないとわかりません。そもそものところ、出産を期待できるだけの数の卵子が採れていない、ということも多いようです。

現段階では健康な人の卵子凍結を行っている医療機関はそれほど多くないため、不妊を回避する方法として現実的とはいえません。もし「いつかは子どもがほしい」と考えているなら、なるべく早い段階で検査を行い、必要に応じて治療を進めていくことをおすすめします。

坂口 健一郎 日本生殖医療専門医

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さかぐち けんいちろう / Kenichiro Sakaguchi

三軒茶屋ARTレディースクリニック院長。日本産婦人科学会専門医。日本生殖医療専門医。1999年に防衛医科大卒業後、木場公園クリニック、リプロダクションクリニック東京など複数の病院勤務を経て、2019年に不妊治療専門クリニックである、三軒茶屋ARTレディースクリニックを開業。

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