子供がほしいカップルが知るべき「排卵日」の真実 いずれ…と思う人の卵子凍結にも意外な事実が

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3つめは市販の検査薬を用いる方法。排卵検査薬では、排卵日近くになると放出される「LHホルモン」を検出することで、セックスのタイミングを計ることができます。

4つめはクリニックでエコーによって、「卵胞の成長具合」を見る方法。排卵に向けて卵子を放出するために卵胞が大きくなるので、その成長を見て「いつセックスすればいいか」を患者さんに伝えることができます。

この①~④のうち最も確実に狙えるのは、クリニックで卵胞の育ち具合を見たうえで、市販の排卵検査薬を使う方法。つまり、③と④の合わせ技で「ゴールデンタイム」を見極めるのが確実です。実際にクリニックでも、そのように指導しています。

なぜ年をとると妊娠しにくくなるのか

一般的に、女性が年をとると妊娠しにくくなることは知られていると思いますが、なぜこのような現象が起きてしまうのでしょうか。

もっとも大きな理由は、身体と一緒に卵子も年をとるからです。

そもそも、卵子のもとになる「卵母細胞」は、母親のおなかにいる胎児のときにつくられます。約700万個がピークでその後は減少し続け、生まれたての赤ちゃんで約200万個、初潮を迎える思春期の頃には約30万個程度になります。月経のあるなしにかかわらず1カ月に1000個のスピードで消え続け、残りの数が1000個くらいになると月経周期が成立しなくなり、閉経となります。

では、卵子の質の低下とはどのような現象を指すのでしょうか。

意外に知られていませんが、質の良い元気な卵子というものは、すごいパワーを持っています。たとえば、卵子にダメージが加わっていたり、DNAに異常があったりしても、自分で治すことが可能です。さらに、受精した精子のほうにダメージがあっても、卵子のDNA修復機能によって治すことができます。

しかし、卵子が年をとるとそのパワーが小さくなってしまい、ダメージを修復することができず、着床できなかったり、着床しても流産したりてしまうことが多くなります。

自分がいまどれくらいの数の卵子を持っているかどうかは、「AMH(抗ミュラー管ホルモン)検査」で調べることができます。しかし、卵子の数は「妊娠しやすさ」とイコールではありません。研究では、AMHの数値と妊娠率は相関関係がないことがわかっています。「妊娠しやすさ」とは卵子の数よりも質が問われるもの、ということです。

では、なぜAMH検査を行うかというと、「体外受精をした場合の有効性を予想するため」です。妊娠を望んでいて、いずれ体外受精をしてもいいと思っている人がAMHの数値が低い場合は、一刻も早く始めたほうがいいということになります。

体外受精へとステップアップした場合、AMH検査の値が高い人は、排卵誘発剤を使って採卵するとたくさんの卵子が採れます。対して、数値の低い人は1~2個しか採れない、ということがあります。

たくさん卵子が採れれば、そこに赤ちゃんになれる質のいい卵子が混ざっている確率が高くなりますので、AMHの数値は高いほうがいいのです。治療の進め方については後述しますが、私はAMHが2.0ng/ml未満の方は、40~42歳の治療スピードと同じように進めることを推奨しています。また、人工授精を1度行って妊娠に至らないようであれば、次の治療段階である体外受精へ進むことをおすすめしています。

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