これだけすでに複雑な状況だったところに、ウクライナとロシアの戦争が始まったわけだから、状況はますます悪化する一方だ。
くみ : そもそも日本の停電予告の原因は、その前々日に起きた地震による一部の発電所の停止が原因だということなんだけど、エマニュエルも以前小説の題材にしたように、2011年の東北の震災では福島の原子力発電所が停止している。
もう10年以上前のことだし、今回の地震はずっと規模も小さかったのにもかかわらず、やはり発電所は地震に対して脆弱だということは言えるのだと思う。損傷したのが原発となると別の問題もあるよね。
フランスも言わば原発大国だけど、さすがに震災後はフランスの友人から「なぜ日本はあれだけ地震が多いのに危険をかえりみず原発をつくるのか理解できない」と結構言われた。
もちろんフランスではほぼ地震はないけど、でも今回のロシアとウクライナの例でもあったような戦時に攻撃されて損傷するリスクなど、地震以外での損傷の可能性は否定できないよね。フランスの世論としては原発反対などの運動もあるの?
再生可能エネルギーの割合を3割に
エマニュエル : さっき言ったようにエネルギー転換法によってフランスでは再生可能なエネルギーの割合を増やし、原子力発電の割合を減らすことを目標としている。具体的には、2020年における再生可能なエネルギー(最終エネルギー消費量)の割合が23%であるのを、2030年には32%まで増大させること。そして現在67%を占める原子力発電の割合を2035年には50%まで減少させることだ。
これはなかなか大きな目標で、エネルギー消費量の削減も同時に行う必要がある。最終エネルギー消費量を2012年比で2030年までに20%、2050年までに50%削減を目指している。また、化石燃料の使用を2030年までに30 %減らすつもりだ。本当にフランスがこの目標を達成できるのかは、今のところわからないけれどね。
くみ : 日本でよく言われるのが原発に代わる強力なエネルギーがない、という説なんだけど、フランスは特に海沿いや広い平地に風力発電施設も多いよね。他にも次世代エネルギーの開発には余念がないと思うけど、どんなものが主流で、また力を入れて開発されているのだろう?