「2年で2倍」電気代高騰し続けるフランス人の悲鳴 4人に1人が電気・ガス代払えないという調査も

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エマニュエル : フランスではそういった次世代エネルギーによって発電された電力のことをグリーン電力と呼んでいる。水力、風力、潮力などを使った発電のことだ。

グリーンガスというのもあって、木材の廃棄物などを燃料として使うバイオマス発電や、家畜の排泄物、商品廃棄物などを発行させてガスを生じさせるバイオガス発電などが例として挙げられる。2019年の時点では、フランスでは総電力消費の27%がこういったグリーン電力が占めていた。

戦争の影響でエネルギー料金は大幅増?

くみ : ここのところのウクライナとロシアの件で、ガソリンを含むエネルギーがますます不足して価格が高騰してるね。先日友人の車でパリから1時間ほどの場所に遠出したとき、120ユーロほど入れても満タンにはならなくて驚いた。

ガソリンは2020年5月が最近では最も低価格でリッターあたり1 .18ユーロだったとあるけど、今年の2月は1.72ユーロで50サンチームも値上がりしている。ガソリンスタンドによっては2ユーロを越えるところもあった。
リッターあたり1ユーロほど安価なスーパーエタノールを使えるように設備を整える人も急増してると聞くけど、これについては、エマニュエルはどう考えている?

エマニュエル : そうなんだよ、ウクライナ戦争が原因で2022年にはヨーロッパ全体でエネルギー料金は30%増加といわれているんだよね。一番大きな被害を受けるのがドイツで、被害が最小限なのがイギリスだ。フランスでは各家庭において、ガスや電気料金、ガソリン代の値上げによって400ユーロの出費の増加が予想される。

経済学者の分析によると、ロシアからヨーロッパへのガス供給が止まった場合、2022年1年間の各家庭のエネルギー料金は平均3800ユーロにもなると考えられている。つまり平均1400ユーロの値上げとなる。これはガス料金が70%上昇すると予想されるからだ。ただし、この予想には公的援助は考慮されていない。

フランスではすでに今冬に向けてロシアからのガス供給不足についての対策が考えられている。4月8日に出された政令で、ガスの消費が最も多い工業や第3次産業(コンサート会場、競技場、ショッピングモールなど)の分野をターゲットにガスの供給を一時停止する可能性がある。

スーパーエタノールに関しては、フランスでも使用している人は増えてきているみたいだね。でも、まだ対応した車の数も多くないため、今のところはまだ多数派とは言えないみたいだけれど。

佐々木 くみ 執筆家、イラストレーター

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ささき くみ / Kumi Sasaki

東京生まれの30代。フランス在住10年を超す。2017年10月に、エマニュエル・アルノーと共著で自らの体験をつづった『Tchikan(痴漢)』をフランスで出版。イラストも手掛けた。

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エマニュエル・アルノー 小説家

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Emmanuel Arnaud

1979年生まれ、パリ出身。2006年より児童文学、小説、エッセーをフランスにて出版。2017年にThierry Marchaisseより佐々木くみとの共著『Tchikan』を出版。2000年代に数年にわたり日本での滞在、および勤務経験を持つ。個人のサイトはこちら

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