会議で判断誤る残念な人々と正しい人々の決定差 集団は個人より妥当に判断するが忖度が邪魔する

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忖度が組織の判断力を格段に下げてしまう科学的理由に迫ります(写真:Graphs/PIXTA)
グーグルやアマゾン・ドット・コムに限らず、アメリカではビジネスへの経済学の活用が進んでいます。しかし日本国内を見てみると、その波に乗り切れているとは言えません。ビジネスに役立つ経済学が、なかなか活用されていない現状があるのです。
ここでは、その一例として「会議」について取り上げます。ビジネスパーソンであれば誰でも1回は出たことのある会議。会議が1人の人間による決定より優れた意思決定をするためには、いくつかの条件があります。やり方が悪い会議は、1人での決定より悪い決定になるというのです。
どうすればよりよい会議、よりよい意思決定ができるのでしょう。新刊『そのビジネス課題、最新の経済学で「すでに解決」しています。』から、その条件を見ていきます。

ダメダメな会議は、どうすれば改善できるか?

組織には必ず会議があります。みなさんも会議に参加して、「この会議はよかった」「この会議はダメだった」など思った経験はあるでしょう。

しかし、なぜよい会議になったのか、ダメな会議になったのか、理屈を考えたことはあるでしょうか。理屈が分かれば、ダメな会議を改善する方法が分かります。組織は会議で意思決定することが多いので、会議の改善は、組織のパフォーマンス改善に直結します。

そもそもの出発点を共有しておきましょう。組織というものは、すべて「人工物」です。一人ひとりは「生物」である人間が集まって、組織がつくられています。生物である人間には、脳や手足や神経が最初から備わっています。

組織はそうではありません。人間の脳にあたる意思決定部位、手足にあたる実働部隊、神経にあたる命令系統などを、わざわざつくり上げねばならない。いわば組織という人工物を、生物のように動かす仕組みをつくらねばなりません。この前提に基づいて、組織の意思決定部位としての会議について考えていきます。

近年、「コーポレートガバナンス(企業統治)」の議論が非常に盛んです。監査の独立性を高めよとか、社外取締役を入れよといった話もよく聞きます。しかし、どうも形式論が多すぎるように思います。もっと実質論があってよいのではないかと思うのです。

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