BEV普及のカギを握る「充電インフラ」その実態 「BEV普及元年」の現状を業界最大手に聞いた
急速充電器の高出力化が進んでいるのは、近年、新車価格の高い上級BEVで、電池パックの電気容量が70~100kWhと大きくなる傾向が顕著になり、充電時間短縮が必須となってきたからだ。急速充電器の価格は「1基500万円前後だが、設置工事を含めると1000万円超えをするケースが珍しくない」という。
充電器規格のグローバルでの標準化については、2010年代前半からアメリカ自動車技術会(SAE)などで議論が進んできたが、現時点ではCHAdeMOのほか、欧米では自動車メーカーが主導する「CCS(コンボ方式)」のヨーロッパ型とアメリカ型、中国ではGB/T規格とCHAdeMOと連携する「ChaoJi(チャオジ)」構想があり、またテスラが独自の規格を持つという乱立状態が続いている。
現時点では規格統一化のめどは立っていないため、国や地域によって充電器の種類が違うのが実状だ。
では、自宅や自社で個別に設置した充電器以外で充電する場合、料金の支払いはどうするのか。
もっともポピュラーなのは、自動車メーカーやインポーターが設定している充電料金プランに加入することだ。
加入後、充電器にアクセスできる専用カードが供給され、急速充電を含めた各地の充電器が利用できるというもので、充電時間や充電回数による月々の支払い金額が設定され、複数年契約による割引などもある。
この料金プランのほとんどが、eモビリティパワー(以下、eMP)が提供する充電サービスを利用することができる。eMPは東京電力/中部電力/自動車メーカー各社の共同出資により設立された、充電インフラサービス企業だ。
2014年5月に自動車メーカー各社が共同で設立した日本充電サービスの事業を承継する形で、2019年10月に設立された。eMP独自の充電サービス会員制度もある。
全国に約3万基ある充電インフラの全容
地図データ大手のゼンリンによると、全国で充電インフラ総数は約3万基あり、そのうち約8000基が急速充電器である。これら約3万基のうち、eMPのネットワークに接続されている充電インフラについて、eMP関係者に詳しく聞いてみた。以下は、その回答である。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら