BEV普及のカギを握る「充電インフラ」その実態 「BEV普及元年」の現状を業界最大手に聞いた
―2022年はBEV(電気自動車)普及元年になる―
多くのメディアがそんな表現を使い、日本でのBEV本格普及に向けた動きを注視している。その根拠は、量産BEVモデルの急拡大だ。日系では日産「アリア」の納車が始まり、トヨタ「bZ4X」、スバル「ソルテラ」が発売に。そして、日産と三菱の共同企画による軽BEVも発売が予定されている。
輸入車では、BEV専業のアメリカ・テスラが2021年に「モデル3」を大幅値下げしたことに起因して「全国で試乗予約が増えている」(テスラジャパン)という。また、ヨーロッパ勢も一気にBEVラインアップが増える。
欧州委員会(EC)が2021年7月に「2035年に域内で販売する新車100%を事実上、BEVまたはFCEV(燃料電池車)にする」という規制に関する方針を打ち出したからだ。
さらに、実店舗を持たず売買契約や決済まで完全オンライン販売を行う、韓国・ヒョンデの「IONIQ5(アイオニックファイブ)」が伏兵になりそうだ。高性能なエントリーモデルでも500万円を切る戦略的な価格設定で、勝負を仕掛けてきた。
こうしたBEVを市場導入するメーカーやインポーターに「BEVが本格普及するカギは何か」と聞くと、返ってくる答えはほぼすべて「リーズナブルな新車価格」「充電インフラのさらなる拡充」である。
進む急速充電器の高出力化
充電インフラとは、BEVやPHEV(プラグインハイブリッド車)用の充電設備を指す。
家庭やオフィスなどの交流電源を使う形式を一般的に普通充電と呼び、電圧は200V、出力は3kW/6kW/8kW等の仕様がある。価格は、数十万円程度だが、「設置場所の状況で設置工事費用はかなりのバラつきがある」(充電器メーカー関係者)という。
高速道路のSA/PA、道の駅、またコンビニなどで見かけることが多い急速充電器は、直流電源を使う。
日本の電力会社も含めた産学官連携で基本構想から実現したCHAdeMO(チャデモ)規格では、これまで50kW出力が主体だったが、最近では90kWや150kWといった出力が大きい仕様も登場している。当然、出力値が高いほど、充電のスピードは速くなるから、ユーザーにとってのメリットは高い。
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