BEV普及のカギを握る「充電インフラ」その実態 「BEV普及元年」の現状を業界最大手に聞いた

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また、都市部では有料駐車場内の設置が多く、ユーザーとして使い勝手が悪いという課題を指摘している。

例えば、東京都千代田区では急速充電器9カ所、普通充電器15カ所の合計66基の充電器があるが、駐車料金がかからない場所は2カ所のみで、そのうち1カ所は自社ブランド車に限定されている。

有料駐車場内に充電器が設置されているケースも多い(写真:Mugimaki / PIXTA)

さらに興味深いのは、急速充電器の設置場所および数と稼働率を示したグラフだ。設置数がもっとも多い自動車販売店で稼働率が一番高い。ついで、設置数では5番目の高速道路のSA/PA、同4番目の大規模商業店舗、同2番目のコンビニと続く。

一方で、設置数が3番目に多い道の駅や、同5番目の自治体施設での稼働率は中程度。また、宿泊施設、観光施設、ゴルフ場などで稼働率が低い。

今後は、こうした使用実態を精査したうえで交通の様相とユーザーの行動から充電器の設置場所や数を適正化し、さらにユーザーの行動変容を促すような仕組みも必要になるだろう。

SA/PAやコンビニに設置されている急速充電器の多くは、eMPの子会社であるジャパンチャージネットワークが運用しており、eMPにとって直営という立ち位置にある。そうしたノウハウがより広い分野に活用されることを期待したい。

eMP代表に聞く充電インフラの今後

最後にeMPの代表取締役社長である四ツ柳尚子氏に、今後の事業展開について訊いた。

eMP代表取締役社長 四ツ柳尚子氏(写真:eモビリティパワー)

―自動車メーカー各社とは、今後のBEV普及と充電インフラとの関係について、どのような方向性で協議しているのか?

いくつか切り口がある。まず充電インフラの増強については、自動車メーカーから可能な範囲で今後の販売計画を提示していただき、(弊社の事業計画と)照らし合わせている。そのうえで、経済産業省や国土交通省とも連携して、BEV普及(の流れ全体)の1年から2年先をイメージした(スケジュール感で)充電インフラ整備を進める方針だ。

また、どういう(出力や電池容量の)クラスのBEVが増えていくのかも(事前にある程度)把握して充電器の出力/数/場所などの最適化を検討していく。

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