BEV普及のカギを握る「充電インフラ」その実態 「BEV普及元年」の現状を業界最大手に聞いた

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2021年12月末で、eMPのネットワークに連携している急速充電器は7300口(くち:充電コネクター部分)。近年では1つの充電器に2口ある仕様のほか、最新型のパワーシェアリング方式には6口仕様もあるため、このような数値で表現している。普通充電器は約1万4000基が、eMPのネットワークに連携している。

大型商業施設の駐車場内に設置された、eMPの急速充電器(筆者撮影)

一方で、全国約3万基のうち、eMPのネットワーク以外の充電器が存在する。それらは、地方自治体が無料開放しているケースや、道の駅の事務所で受付をしてから独自の料金形式で使用するもの、またはコイン課金の充電器だ。

自動車販売店については、国内ブランドまた輸入ブランドを問わず、公共的に開放する場合と自社ブランド顧客のみ利用できる2つのケースにわかれている。販売店は(メーカーやインポーターと直接の資本関係のない)独立した企業である場合が多く、販売店運営企業それぞれの経営方針があるからだ。

例えば、充電器の設置場所が、販売店敷地内の奥にあったり整備工場の近くにある場合、利用可能時間を販売店の営業時間内に限定したり、一般に開放しない場合もある。

テスラが独自に導入している「スーパーチャージャー」はCHAdeMO規格ではないため、eMPのネットワークとは連携していない。ただし、テスラ車のユーザーはテスラが独自に開発したCHAdeMO対応の充電アダプターを使い、eMPの会員になってCHAdeMO充電器を使うか、1回のみの個別課金により利用できる(eMP関係者)。

充電器の知られざる使用実態

次に、充電器の使用実態について話を深堀りしてみたい。ベースとなるのは、経済産業省が2021年3月から開催した「カーボンニュートラルに向けた自動車政策検討会」にeMPが提出した資料だ。

それによると、「充電器の存在効果」として充電器の増設が進むと実際に充電しなくても「近くに充電器が存在する」という安心感だけで、BEVの走行範囲が各段に拡大するというデータが示されている。ただし、充電器の設置場所は都市部に多く、東北や北海道など地方部で空白地域が残っている状況だ。

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