BEV(電気自動車)になったら、“スバルらしさ”がなくなってしまうのではないか。
これは、多くのスバルファンが心配している点であろう。
なにせ、スバルとして事実上初となる量産型BEVの「ソルテラ」は、トヨタ「bZ4X」との共同開発車といっても、車体、モーター、電池、制御系などクルマとしての技術の中核はトヨタの主導で、スバルの技術はX-MODEなど主にAWD(4輪駆動)関連しかないからだ。
開発体制も、スバル側がトヨタの開発部門に加わるという形であり、開発の基盤はトヨタ側にある。スポーツカーの「BRZ」と「GR86」では、開発の主体はスバル側にあり、生産もスバルが行っているため、それらとbZ4Xとソルテラではスバルとトヨタの関係性が真逆に見える印象だ。
さらにトヨタは、2021年12月14日に「バッテリーEV戦略に関する説明会」を報道陣向けに開催し、その場でbZ4Xを含め、近年中に量産計画がある16ものBEVの姿をお披露目している。「この中のどれが、スバルのバッジをつけるのか」という見方をする人がいてもおかしくはないだろう。
水平対向+AWDのメリットが消滅
スバルと言えば、水平対向エンジンを採用したシンメトリカル(左右対称)で低重心な基本構造によるハンドリングの良さが、長年にわたるセールスポイントだった。
それがBEVになるとエンジンはなくなり、またバッテリーなど重量物が車体の下方に配置されることで、必然的に低重心となる。クルマの基本構造だけで、ガソリン車のような“スバルらしさ”をBEVで主張することは難しい。
また、ソルテラの高度運転支援システムは、スバル車の象徴のひとつであるステレオカメラ(2眼式)の「アイサイト」ではなく、「トヨタ セーフティー センス」を採用している。
こうした事実だけを並べてみる限り、ソルテラに「スバルらしさはあるのか」という不安がよぎるのは当然だ。ところが、そんな不安が雪深い群馬山中で一気に解消されたのだ!
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