ソルテラ試乗!BEVに「スバルらしさ」はあるのか? bZ4X&フォレスターと乗り比べて感じた根幹

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2モードX-MODEに対するスバルの車内規定について、代用路面では傾斜角20度でタイヤ4輪に同時にトルク伝達されること、実路では傾斜角25度の砂利道を走破できることなどがあり、ラフロード、雪道、深雪、泥地、砂地など6項目において、フォレスターと「XV」と同じレベルの性能を確認したという。こうしたSUVとしての走行性能は当然、bZ4Xにも適用される。

一人ひとりの「スバルらしさ」

全体の試乗を終えて、プロジェクトゼネラルマネージャーの小野氏に、「もっともこだわり、そして悩んだのはどこか」と聞いた。すると小野氏は、「スバルらしさ(をどう見つけて、どう表現するか)だ」と言い切った。

“スバルらしさ”については、スバル社員の一人ひとりにこだわりがあるが、どれが正解というわけではなく、「結局は『スバルとしてこうありたい』というロジックなのではないか」という考えに至ったという。

フォレスターとソルテラを乗り比べて「スバルらしさ」が見えてきた(写真:SUBARU)

そのうえで、「トヨタ(の開発・製造部門の中)で、ソルテラを作っているが、スバルが作ればスバルになる。トヨタとしても、スバルとしても、1つのいいモノを作る(という気持ち)。何をしたとしても(スバルらしさを実現できるのか)、答えはない」と小野氏を先頭とするソルテラ開発メンバーは自問自答してきたわけだ。

また、主要部品で「トヨタと同じであるに、(スバルとしての)躊躇はない」と言い切る。開発を進める中で、スバルとして、またトヨタとして良いクルマを追求する過程で、「同じ領域と違う領域が生まれることを許容してきた」という解釈を示した。

6kmフルコースをフォレスターの先導によって完熟走行する様子(同乗者撮影)

こうした、スバルとして大きな挑戦を経て生まれたソルテラ プロトタイプから、今回の雪上試乗を通じて、まぎれもなく『スバルらしさ』を感じ取ることができた。

群馬サイクルスポーツセンターからの帰路、フォレスター スポーツを走らせていると「なるほど、似ている」とソルテラ プロトタイプとの乗り味との共通性を実感した。これぞ、まさに“スバルらしさ”である。今度はぜひ、舗装路面の高速道路で、ソルテラ量産車の操縦安定性を吟味してみたいところだ。

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桃田 健史 ジャーナリスト

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ももた けんじ / Kenji Momota

桐蔭学園中学校・高等学校、東海大学工学部動力機械工学科卒業。
専門は世界自動車産業。その周辺分野として、エネルギー、IT、高齢化問題等をカバー。日米を拠点に各国で取材活動を続ける。一般誌、技術専門誌、各種自動車関連媒体等への執筆。インディカー、NASCAR等、レーシングドライバーとしての経歴を活かし、テレビのレース番組の解説担当。海外モーターショーなどテレビ解説。近年の取材対象は、先進国から新興国へのパラファイムシフト、EV等の車両電動化、そして情報通信のテレマティクス。

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