子どもの担任の先生に本心が言えない
先日、小5の娘の担任の先生から電話がありました。娘が学校でやらかしたルール違反や人間関係なんかについての話でした。娘から聞いていることと大きな差異はありませんでしたが、ドキドキしながら「今から呼び出しか?」「誰かお友達にケガをさせてしまったのか?」と次の展開を待っていると、話はどうもそれで終わりのよう。
起こったことの報告をしてくれているのかと思いきや、何も質問していないのに、「あれもやっています」「これにも手を打っています」と一方的にしゃべり続ける先生。私のほうは、「なるほど」「そうですか」と相づちを打ちながらも、「先生が事を大きくしている気がするけど?」「人間関係のことばかりじゃなくて、もっと勉強が好きになるように授業に腐心してくれないかなぁ」などと思ったりしていましたが、そんな言葉はもちろん飲み込んだままです。
娘の言い分と食い違っている点も、確認や反論をしませんでした。「よく言って聞かせますので」などと普段より数オクターブ高い声で受け答えし、「ごめんくださいませ」と最敬礼の雰囲気で電話を切ったのです。
子どもを預けている担任の先生と、率直に意見交換できない私。これは完全に「モンスターペアレンツ」と思われたくないから、やっているわけです。先生だけじゃなく、ママ友たちにもモンスターだなんて思われたくない。だから、多くの言葉を飲み込む。「言わなくてよかった~」と思う言葉もあるけれど、信念として「言うべきだった」と思う意見も、ほとんど口にしないまま、表面的なやり取りでその場をやり過ごしていることが多いように思います。
会社の部下にも遠慮がちに……
子どもに対してだってそう。ウソをつかれたとして、それを見抜いていても、そのウソをそのまま指摘しちゃいけないと何かで読んだ気がする……とか、「あなたのためを思って言っているのよ」と言った後は「あ、毒母風のセリフ言っちゃった」とひるんだりとか、子どもと対峙している私から“幽体離脱して”、言葉選びをしている私がいる感じなのです。大声でしかるときや大泣きされたときは、横目で窓が閉まっているか確認してしまう。ご近所に「虐待?」となんて思われたら大変です。
職場でも年次を積み、ポジションが上がっていけばいくほど、コミュニケーションに慎重になっていった記憶があります。若い男性部下に重い荷物を持ってもらって、「さすが男子! 助かるー」なんて言ったらセクハラになりかねない。意識的に強く叱責するときも、パワハラリスクを覚悟する。
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