〈15時半にパレスホテルのラウンジでいかがでしょうか。「晩婚さん」へのインタビューなので、お見合いで使われるような場所を好んで選んでおります〉
〈……関係あるような、ないような! 当日、どうぞよろしくお願いします〉
旧知のデザイナーである梶原健一さん(仮名、40歳)とメールを交わしたのは11月初旬のことだった。梶原さんは物腰は丁寧だけれど、明るい下ネタや悪口を連発する人柄で出版業界の仲間から愛されている。昨年末に3歳年下の女性と結婚したと聞きつけて連絡を取ると、冒頭のような軽いやり取りをして再会することになった。
達観しすぎ?な結婚観
待ち合わせの時刻どおりにやってきた梶原さん。外見は変わらずにオシャレでカジュアルだ。少し言葉を交わすと、心境には変化があることに気づく。よく言えば落ち着いていて、悪く言えば元気がない。体調不良でもなさそうなのに、声が消え入りそうに小さいのだ。3年間付き合って結婚した彼女との生活の影響なのだろうか。
「若い頃は結婚する気がありませんでした。結婚生活にいいイメージがまったく持てなかったからです。結婚するとヨメが急にわがままになり、お互いに嫌気がさして別れることになる、みたいなイメージですね」
新婚なのに結婚へのネガティブな意見を繰り出す梶原さん。一方では、独身生活を謳歌している仲間たちへの「同族嫌悪」の感情もあったという。
「ひとりで気ままに生活して、恋愛だけするほうが楽しいに決まっています。でも、快楽だけを純粋に求めるのは大人じゃない。彼女もいい歳になっているから、そろそろ子どもを作らなくちゃいけません。2年間は同棲をしていたのですが、彼女のほうは結婚したかったようです。友達との電話で『まだだよ』という返事をしているのを聞いたことがあります」
無料会員登録はこちら
ログインはこちら