豪快な風貌とは裏腹に、考えすぎ、察しすぎる傾向もある梶原さん。社会や恋人に対する義務感から結婚を決意する気持ちはわからなくもないが、それが先行すると自分の心と体が追いついてこない危険性がある。
僕の初婚はそうだった。30代に入り、学生時代からの友だちの大半が結婚していく中で、孤独感と「オレも大人にならなくちゃ」という意識が急速に高まった。そして、当時、同棲をしていた恋人の結婚願望を勝手に推察してプロポーズをした。
働き方や暮らし方、人付き合いに関する感覚や価値観が大きく異なり、結婚相手としてはお互いに不適切だったことが今ならわかる。でも、あの頃は「なんとかなる。大丈夫だ」と突っ走り、1年足らずで破局を迎えた。
梶原さんは僕ほど愚かではない。2年間の同棲生活で恋人の言動を入念にチェックしたと明かす。
「チェックなんて嫌な言い方ですけれど、結婚してから我慢できないマイナスポイントが見つかったら取り返しがつきません。たとえば、僕の友達をけなすとか文句ばかり言うとか。彼女にはそれはありませんでしたね。
ただし、僕以上にズボラだとわかりました。洗面台に髪の毛がやたらに落ちているので彼女に聞いたら、『ブラシについた髪の毛をゴミ箱に捨てるのが面倒くさいから洗面台にまいているんだよ』と平然と答えるんです。ソファの上もいつも物置状態。まあ、神経質でないのは楽ですけどね。プラスのポイント? 大きなものはありません。話していて面白い、ぐらいかな」
豪快な肉食男子から、堪え忍ぶ夫に?
奥さんは建築関係の会社に勤めており、平日は深夜まで働くことが多いという。家事をやらないわけではないが、「ズボラ」なので任せると家がどんどん汚れてしまう。自宅で仕事をしている梶原さんがほぼ一手に引き受けている。
「料理は好きなほうですし、洗濯掃除は洗濯機と掃除機があれば簡単です。面倒くさいのは皿洗いかな。嫌々やっているところを、彼女が後ろからふざけて抱きついて来たりすると、『今、洗い物をしているのがわからないの。片付けを手伝って』と冷静に言っています。オレのほうが妻みたいだな、と思うことがありますね」
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