晩婚さんにして再婚さん、という人はどんな心境なのだろうか。他人事ではない。僕自身も該当者のひとりなので、食事でもしながら語り合いたいのだ。
僕は32歳で結婚してわずか1年で別れ、35歳で再婚をした。1度目の失敗があるから2度目はうまくいっていると信じているが、最初の結婚が長続きするに越したことはないと思う。離婚は自分を含めたさまざまな人を傷つけるからだ。
なぜ失敗したのだろうか。きっちり振り返り、同じ過ちだけは繰り返さないようにしなければならない。26歳で結婚をして1年で別れ、42歳で再婚した医師の横山邦夫さん(仮名、44歳)の話を聞きながら、今さらながら自省したい。
すぐさま破綻した、学生時代の彼女との「でき婚」
邦夫さんは鉄道ファンだという。ランチをしながらのインタビューには東京ステーションホテル内のレストランを選んだ。約束時刻の少し前に店に着くと、すでに邦夫さんが座って待っていた。
昭和期の大学教授のようなきまじめな風貌と話し方であり、医者の肩書と年収を利用して女遊びをするタイプとは思えない。昨年に結ばれた10歳年下の妻との間に早くも息子が生まれたばかり、というおめでたい話は後回しにして、18年前の初婚について聞くことにした。
「前妻は学生時代のサークル仲間の看護師です。3年付き合って、卒業と同時に結婚しました。僕は恋愛に奥手なのでほかの人には目が向かず、結婚するなら当然、彼女かなと思っていたのです。ただし、結婚したきっかけは子どもができたことです」
いきなり「できちゃった婚」を告白してくれる邦夫さん。良くも悪くもうそをつけない人のようだ。お互いの家族から結婚を祝福されなかったことも包み隠さずに話す。
「前妻の家族は血筋や家柄を気にする保守的な人たちで、僕は歓迎されていないことが露骨に見えました。うちの両親は両親で、前妻がちゃんとあいさつもできないことを不満に思っていたようです」
赤子を抱えた若い夫婦が、お互いの肉親から温かいサポートを得られない。それだけでも厳しい状況であるが、邦夫さんたちは夫婦仲も良好とは言えなかった。
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