好きになれそうな未婚の男性と出会えない。よさげな人をたまに見かけても2人きりで会うほど親しくなれない――。30代の未婚女性の多くが抱える悩みではないだろうか。
いいお相手はどこにいるのか。日本全国に満遍なく生息しているのではなく、どこかに偏在していると思う。僕とは旧知である西岡京子さん(仮名、37歳)は「立ち飲みバーの常連仲間のバツイチ男性と出会って35歳で結婚した」と、驚きの報告をしてくれた。
インタビュー依頼のメールを送ると、「ホントは今月から職場復帰だったのですが、(息子がキャンセル待ちの)保育園に入れないので育休延長したところです。ちょうどタイミングよかった!」との明るい返事。当然ながら、0歳の息子も連れて来たいという。都内の居酒屋の掘りごたつ式個室を予約して、ランチを食べながら話を聞くことにした。
常連客が続々と結婚する立ち飲みバー
だっこひもで息子を抱えて現れた京子さんは、女性らしい柔らかな表情に社会人としての自信と美容術が加わり、数年前より美しくなっている気がした。話し方だけは変わらずにざっくばらんな調子だ。
「彼と出会ったのは2010年の暮れ。私は春先に1年付き合っていた恋人にフラれて、半年ぐらいは悶々としていたけれど、しょうがないからひとりで飲みに行くか!と思ったのです。
近所に女性が経営している立ち飲みバーを見つけて、毎日のように通うようになりました。私みたいに飲み好きな女の子もひとりで来るし、独身やバツイチの男性客も多い店です。お店のお姉さんたちも気軽に話しかけてくれて、ひとり客同士は仲良くなることもありました。あの店で出会った人たちは、私たちも含めて3組も結婚したらしいです」
京子さんによれば、オープンな雰囲気の店ではあるけれど、誰でもどんな状況でも異性の友達ができるわけではない。露骨に恋人や結婚相手を見つけようとする人は敬遠されやすく、同性同士でも楽しく飲めて気も遣える人が歓迎される。気分がふさぎ込んでいるときはあまり話しかけてもらえず、気持ちが落ち着いていて外向的になっているときは、自然と人の輪が広がっていくという。
どんな「場」でも当てはまる人間心理だと思う。京子さんも前の恋人にフラれて半年間はひとりで傷心と向き合って過ごし、ようやく立ち直ってきた局面で店に通い始めた。それが功を奏したのだろう。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら