「父も母も昔の人だから、『結婚して子どもがいて初めて一人前。子どもを一人前にするのは親の仕事』という考え方です。適当に聞き流してはいましたが、親だから完全に無視もできません」
邦夫さんはそれでも積極的になれず、良縁に恵まれないままに40歳を迎えた。ここで再び母親が乗り出してくる。独身の子どもを持つ親が集まって情報交換し、話がまとまれば子どもをお見合いさせるというイベントに参加したのだ。
「そのお見合いもうまくいきませんでしたが、イベント主催者が『横山さんにはこの女性はどうか』と個別に釣書を持ってきたのです。それが今の妻。関西出身の人で、僕より10歳年下です。そんなに美人じゃないけれど、人当たりはいいと思います」
邦夫さん、正直すぎるのも限度があるぞ。匿名とはいえ新妻の昌子さん(仮名、33歳)がちょっと可哀そうだ。「わかりやすい美人ではないけれど僕好みの顔立ち」とでも言えばいいのに……。
「妻は父親が医者なので、同じ職業である僕をすぐに気に入ってくれていたようです。でも、僕は妻との相性がつかみきれずに迷いがありました。決め手は妻の母親ですね。とてもフレンドリーな人で、うちの両親とも仲良くしてくれています」
これは正しい判断だと思う。男女ともに年齢を重ねると親に似て来るとよく言われる。特に、「配偶者に何を求めるか。どう接するか」は同性の親に酷似する傾向がある。素直で愛嬌がある人を可愛がりたいのか、強いリーダーシップのある人に甘えたいのか。事前に見極めることは難しいが、相手の両親の夫婦関係を見ることは大いに参考になるだろう。
「若い妻」がいい夫、「開業医になってほしい」妻
もうひとつの決め手は昌子さんの年齢だった、と邦夫さんはまたしても率直すぎる内心を吐露する。
「僕が定年を迎えるときに子どもはようやく大学を卒業します。ギリギリの年齢ですよね。出産・育児には体力が必要なので、せめて奥さんは若いほうがいい。同世代との結婚は考えられませんでした」
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