市場拡大が止まらない「代替肉」業界の百花繚乱 IT、大豆、食肉企業が大混戦。激動する業界地図

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1つ目の植物由来代替食は現在のところ大豆を原料にすることが多い。細胞培養と比べると開発が容易なため、市場に出回っているのはこの植物由来の代替肉が主流だ。大豆肉関連の老舗企業としては食品油脂大手の不二製油グループ本社が挙げられる。同社は、1956年から大豆肉の開発を始め、大豆肉の元になる粒状大豆タンパクの生産量は国内首位だという。大豆製品大手のマルコメも大豆肉を手がけ、食肉企業のプリマハムと共同開発を行っている。

食肉大手で、大豆肉にも参入しているのはプリマハムだけではない。食肉国内首位の日本ハム、肉卸のスターゼンなどが続々と大豆肉に参入している。食肉企業からみればライバルともなりうる代替肉だが、新たな市場を取りこぼすまいと力を入れる。

有力ベンチャーに大手食品メーカーが熱視線

日本の代替肉ベンチャー、グリーンカルチャーが展開する植物肉(記者撮影)

国内ベンチャーも活発だ。植物肉製造開発ベンチャーのDAIZや、まだ設立から2年も経たない専業メーカーのネクストミーツがある。DAIZの開発した大豆原料はニチレイフーズや伊藤ハムの食品にも使用されている。ネクストミーツは大豆などを原料にスライス状の代替肉を製造していることが特徴で、実際に焼き肉屋などの飲食店で提供されている。代替肉は一般的に加工のしやすさや食感、味の問題などからミートボールやハンバーグなどのミンチ状の製品が多い。

両社に興味を示す大手企業も多く、DAIZは日清食品ホールディングスや小売りの丸井グループ、三菱ケミカルホールディングスなど幅広い企業から資金を調達し協業している。ネクストミーツはドラッグストアを展開する薬王堂と資本提携するなどしている。

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