市場拡大が止まらない「代替肉」業界の百花繚乱 IT、大豆、食肉企業が大混戦。激動する業界地図

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海外勢ではアメリカのインポッシブル・フーズやビヨンド・ミートの植物肉が有名だ。植物肉ハンバーガーやナゲットなどを手がけている。同じくアメリカのイート・ジャストの液卵も知られている。もちろんアメリカだけでなく、ヨーロッパや中国など世界中で多数の企業が開発に力を注いでいる。

なお植物由来ではないが、飼育に伴う環境負荷が低い昆虫食も、昨今新たなタンパク源として注目度が高まっている。昆虫から代替肉の開発に取り組む企業もある。

3Dプリンターも活用、テック化する食品

他方、動物などから原料となる細胞を取り出して作る培養肉は、さながらSFの世界だ。たとえば日本のベンチャー企業インテグリカルチャーでは、装置で体の一部を再現し、臓器の役目をする複数のタンクの中でさまざまな細胞を培養する。

2021年11月には日揮ホールディングスが培養肉の商業生産を目的に新会社を設立し、2022年3月には味の素がイスラエルの培養肉ベンチャー・スーパーミートへの出資を発表した。

海外では、初めて培養肉ハンバーガーの製造に成功したマーク・ポスト氏が設立したモサミート(オランダ)や、ビル・ゲイツ氏らも出資しているアップサイドフーズ(アメリカ)、アレフ・ファームズ(イスラエル)など無数の企業が存在する。これらの中には3Dプリンターで培養肉を製造しようとしている企業も複数ある。

代替肉の差し当たっての課題は価格だ。いずれも本物と比べると高くついてしまうため、各社が製造コストを下げる研究にしのぎを削っている。ネクストミーツの佐々木英之代表取締役は「代替肉を食肉と同価格にできれば、大きな“パラダイムシフト”が起きると思う」と過去の東洋経済への取材に答えている。このほか、味や食感・形状などの技術の確立なども課題である。培養肉の場合は安全性に関する議論もある。

日本ではもともと欧米に比べて肉の消費量が少なく、ベジタリアンやヴィーガンなどの菜食文化もあまり浸透していないことから、代替食が広がらないという意見もある。ただ、伸び率は世界市場ほどではないものの、国内市場も着実に拡大は続いており、スケールメリットによる代替食のコスト削減効果も期待される。今後も国内外で、大手からベンチャーまで入り乱れた開発競争が続くだろう。

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