ソーシャルリーディングで広がる読書体験

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電子書籍を使わずに、リアルタイムに近い形でのソーシャルリーディングを模索する動きもある。

昨年12月、筑波大学のラーニングコモンズ(図書館に常駐して学生の学習や情報取得の手助けを行うスタッフ)は、ソーシャルリーディングスタイルによる読書会を行った。

参加者は指定された書籍を読んで気になった文章をツイッター上でつぶやく。ツイッターを使うことで、実際に集まらずに意見交換が行える。ツイッターでは時系列に沿ってつぶやきが保存されているため、後から内容を確認することも容易である。時間が経ってからのつぶやきも参加者の目に触れやすい。「場所や時間の制約なく、読書体験を広く共有できた」とスタッフの平山陽菜さんは語る。

これまでのリアルな読書会では人が集まりにくかったが、ツイッター上での告知効果が大きく、参加者は増加した。北海道からつぶやいてきた参加者もいたという。リアルな読書会では、人数が多いと議論への参加が難しくなるが、ツイッターであれば一人ひとりが発言しやすく、声が小さくても発言内容で議論をリードすることができるのも魅力だ。

出版社は販促に活用 定着までは試行錯誤

出版社も動き出した。日本放送出版協会(NHK出版)は、他社に先駆けソーシャルリーディングの取り組みを開始した。

昨年12月13日に「share reader(シェアリーダー)」というサービスを開始。このサービスを使って気になる文章を選択すれば、シェアリーダーのサイトに文章と感想が書き込まれ、自動的にツイッターにも投稿される。「ツイッターを選んだのは誰でも簡単に参加できるから。敷居の低いメディアの活用で、まずはソーシャルリーディング自体が広まっていけばいい」(開発担当者の久保田大海さん)。

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