「BABYMETAL快進撃!」の絶妙な仕掛け

雛型はPerfume、アミューズ流の戦略とは?

この手法は、メタルファンにはふざけてるのか、バカにしているのか、と反感を買ってしまう可能性もあります。それを察知してか、BABYMETALはその活動を“METAL RESISTANCE”と自称しています。違和感は(メタルの主流への)抵抗運動とでも言いたいのでしょうか。しかし、確かにこのやり方は、アイドルファンのような従来のメタルファン以外に遡求する可能性もあるものの、やはりひとつの賭けである、とは言えると思うのです。

プロジェクト全体で作り出す、本気の音楽性

メタルファンにとっては、バックバンドの充実こそがBABYMETALのエッセンス(画像:マリオ/Imasia)

しかし、そんな従来のメタルファンの心をつかむのが、BABYMETALの背後で楽器をかき鳴らす、バックバンドの充実ぶりです。

BABYMETALのバックバンドはいくつかあるのですが、どれも評価は高く、中でも、ベースのBOH(棒手大輔)、ギターの大村孝佳、Leda、藤岡幹大、ドラムの青山英樹などによるバックバンド、メタルの神「キツネ様」の化身として召喚された「神バンド」の評価は、国内外で極めて高いものです。おそらく、メタルファンにとっては、あのバンドこそがBABYMETALのエッセンスなのでしょう。

この実力派バックバンドの演奏が、メタルとはややなじみにくい、アイドル流のかわいい容姿や高く細い声をカバーするわけです。アイドル流のライブパフォーマンスという彼女たちの力(ライブ中はキツネ様が降臨しているらしいので、キツネ様の力かもしれませんが)と、メタル界の粋を集めたスタッフやバンドの音楽性の両者が結び付いて、メタルをネタにしたアイドルか?アイドルがやるメタルか?という問題を超えて、BABYMETALという「ホンモノ」を生み出したと言ってよいでしょう。

「変種」を受け入れるメタル界の豊潤さ

だいたい、筆者は「どこまで本気なのか」と言いましたが、そう思わせるハイコンテクストな情報は海外のファンには伝わりにくいものです。そして、ひとつBABYMETALに有利なことは、メタルもロック同様、かなり細分化された進化を遂げており、スピードメタルにデスメタル、メロディックデスメタルとか、まぁいろいろ分化しているようです。そういう意味では、確かにBABYMETALはメタル的にはあきらかな「変種」なのでしょうが、それを受け入れる豊潤さがメタル界にはあるのでしょう。

「変種」であれなんであれ、一度「ホンモノ」と見なされれば、メタルファンにとってはそれは新しい可能性の発見ですし、全力で新しい道を突っ走るBABYMETALの3人の姿は、極めてロックなものに映っているのかもしれません。

もしかしたら、“BABYMETAL”は、将来この3人のメタルアイドルの名称を超えて、アイドル的要素を加えたメタルの1ジャンルの名称になる日がくるのかもしれません。そのとき、BABYMETALの“METAL RESISTANCE”は完成すると言えるでしょう。

BABYMETALと世界と日本

しかし、それほど多様な進化を遂げた世界のメタル界の中で、どうしてこれまでBABYMETALが生まれなかったのでしょう?

ここで、先日、筆者がトークイベントでご一緒させていただいた、精神科医であり批評家でもある齋藤環・筑波大教授の鋭い指摘を紹介したいと思います。それは、欧米には成人の嗜好対象としての「少女」という意匠を拒絶する、ペドフィリアタブーとでもいうべきものがあるということです。

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