12月3日(水)に放送された「2014 FNS歌謡祭」の視聴率が話題となっています。昨年は、18.8%を記録し、民放音楽番組の最高視聴率を獲得しましたが、今年は15.4%(関東地区、ビデオリサーチ調べ)。ちまたでは、「大苦戦」「歴代最低」と騒がれていますが、あの若者重視のラインナップで、15.4%も獲得したことに、筆者はビックリしました。
音楽番組不振の時代になぜ?
毎年、年末が近づくと、各局歌番組の特番が続きます。中でも「FNS歌謡祭」は、「ミュージックステーション スーパーライブ」(テレビ朝日系)、「日テレ系音楽の祭典ベストアーティスト」(日本テレビ系)と並ぶ民放を代表する音楽番組です。
テレビ番組の中でも、少子高齢化の影響を最も大きく受けているのが音楽番組。かつては20%以上が当たり前だった若者向けの音楽番組ですが、現在はどれも1ケタ台の視聴率。「ミュージックステーション」でさえ、1ケタなのです。対照的に強いのがNHKの演歌番組。NHK歌謡コンサートは、直近で12.8%(11月18日、関東地区、ビデオリサーチ調べ)と高い視聴率を獲得しています。
そんな中、「2014 FNS歌謡祭」の15.4%は快挙と言ってもいいでしょう。最初から最後までAKB系とジャニーズ系アーティスト中心で、昨年と比べて、視聴者ターゲットの年齢層をぐっと下げました。普通に考えれば、視聴率が急落してもおかしくないのに、15.4%を達成。その背景にはどんな戦略があったのでしょうか。
”ロイヤルカスタマー”を引き付ける2つの戦略
ひとつ目は、曲目、曲順を事前に発表しなかったことです(放送後に番組HPで発表)。4時間半もの長い番組を、リアルタイムで見てくれる人はどんな人か? それはもちろん、AKB系、ジャニーズ系、ももいろクローバーなどのコアファンの方々です。今の時代、「録画しておいて、好きなアーティストだけを早送りしながら見る」というのが一般的。よほど熱狂的に好きでなければ、生で見ようとは思わないのです。
こういうファンのことを経営学の世界では「ロイヤルカスタマー」と言いますが、彼らを最初から最後までテレビの前にくぎ付けにしておくことが、視聴率獲得の必須条件。だから、どのアーティストがいつ出てくるか、完全にわからなくしておくのです。登場順がわかっていたら、興味がないアーティストのときは、チャンネルを変えられてしまいます。15.4%は、ロイヤルカスタマーが最後まで見てくれたからこそ達成できた数字です。
2つ目は、「ミュージックフェア」など、フジテレビの音楽番組が得意とする「コラボレーション」を多用したことです。
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