YouTubeなど、インターネット上に世界的なビデオメディアが生まれていたこともプラスに働きました。2010年に韓国メディア主催のアジア最大級の音楽授賞式「2010 Mnet Asian Music Awards (MAMA)」で「Best Asia POP Artist」を受賞すると、2012年からワールドツアーを行い、米国、欧州、東アジアで人気を確かなものにしています。これは「世界で人気なPerfume」というイメージを作ることに成功し、国内でのPerfumeの価値をも高めています。
海外で活動する日本のアイドルとして、モー娘。、AKB48、ももクロのいずれもが経た、パリで毎年開催される「JAPAN EXPO」を、Perfumeが経由していないのも特徴的です。そして、BABYMETALもこのJAPAN EXPOのステージには立っていません。
世界戦略という国内戦略
「アイドル」そのものを打ち出すのではなく、既存の音楽ジャンルとアイドルとの融合を目指すこと。その中でアーティスティックな個性を打ち出していくこと、そしてグローバルなインターネットというメディア、特にYouTube等の動画プラットフォームを武器にして、直接、「世界の支持」を獲得すること――そして、それにより日本国内市場での存在感を高めること。これは、アミューズらしい方程式だといえます。
テクノポップにアイドルを掛け合わせることで成功を収めたPerfume。ヘビメタにアイドルを掛け合わせるBABYMETALの戦略は、そのアミューズの方程式の上にあるのではないでしょうか。そういう意味では、PerfumeなくしてBABYMETALなし、なのです。
ただし、BABYMETALがPerfumeの主題を変えたコピーだなどと言う気は毛頭ありません。もちろん、BABYMETALにはBABYMETALの工夫があるのです。
BABYMETALを勝利に導いた「本気」の賭け
BABYMETALは、仕掛けだけを見れば、本当にメタルなのか、それともメタルをネタにしたアイドルなのかわからないところがあります。「キツネ様のお告げに従い、メタルで世界をひとつにする」(NHK特番の紹介より)というストーリー、それゆえヘヴィメタルで象徴的に使われるデビルサインではなく、影絵の「キツネ」の形をしたフォックスサインをパフォーマンス中では使います。それで、「イジメカッコわるいよ!」とか、「パパのお嫁さんになるんだ!」とか歌うわけです。
公式HPを見ていても、“YouTubeで公開された「ド・キ・ド・キ☆モーニング」のミュージックビデオには「なんじゃこりゃぁあ!!」と衝撃を受けた多くのコメントと共に海外からのアクセスが殺到”とか自分で書いていますし、告知表現で、何かにつけて終助詞「~です」を「~DEATH!」と表記しているのも、どこまで本気なのか?と少し気になります。やっぱりメタルはネタなんじゃないか?と。
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