「ガバナンス」なき企業に上場の意味なし 金融庁が突きつけた上場企業へのメッセージ
2015年6月に向けて、日本の上場企業は、コーポレートガバナンス改革のまっただ中に踏み込むことになりそうだ。
金融庁が開催してきた「コーポレートガバナンス・コードの策定に関する有識者会議」が12月12日、「日本版コーポレートガバナンス・コード」の基本形をまとめて、15年6月1日からの適用を決定したからである。今後1カ月ほどの間に、パブリックコメントを求め、その後にこの原案が確定する。
コーポレートガバナンス・コードは、OECD(経済協力開発機構)が導入した同コードに基づいて、策定作業とその議論が重ねられてきた。今回のコード策定は、上場企業の経営者がその手腕を十分に発揮できる環境を整えることを狙いとしており、その主旨は冒頭の序文に明記された。これは財界の中に、同コードが「経営の自主性を制約しかねない」という懸念があったことを踏まえたものと言える。
取締役のうち3分の1は社外に
実際、コードはその性格上、強制的なものではないが、企業はコードの受け入れを表明し、コードの原則に則ったガバナンスを行なうか、コードを受け入れない場合には、その説明を行なうことが求められる。この導入と企業の対応によって、日本企業のコーポレートガバナンスの向上を通じ、外国からより多くの投資マネーを日本市場に呼び込むことが期待されている。
今回、有識者会議が了承したコード原案に盛り込まれた原則は多岐に及ぶが、その中でも大きなポイントと言えるものは、①上場企業は複数の独立社外取締役を設置する、②少なくとも3分の1以上の独立社外取締役を選任することが必要と考える上場企業は、そのための取り組み方針を開示する、③政策投資株式については経済合理性が説明できるような議決権行使の適切な基準を示す、などだ。
①、②で示した独立社外取締役については、上場企業の中でいまだに導入していない企業は少なくない。また、グローバル企業でも、導入はしているものの、役員数の3分の1までに達しているところは、それほど多くないのが現実だ。同コードの受け入れ表明の期日は15年6月1日であり、受け入れ表明はしたが、独立社外取締役が不足している企業の間では、独立社外取締役に相応しい人材の獲得合戦が激しくなるケースも考えられる。
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