「よい会社とは何か?」という定義づけには多くの見方が存在する。その中で、財務データとCSR(企業の社会的責任)データを使い、「信頼される会社」を見つける「東洋経済CSR企業ランキング」(ポイント算出方法など、ランキングについての解説はこちら)は今回で8回目を迎えた。
最新の2014年版も、トップ700社を掲載する。今回は、NTTドコモが初めて首位に立った(700社のランキングは2ページ以降で掲載。2013年版はこちら)。
非製造業の雄、バランス力で着実に前進
CSR125、財務15の項目を総合評価したドコモの総合得点は571.3点。分野別には人材活用94.7点(10位)、環境94.2点(32位)、企業統治+社会性97.4点(8位)、財務285.0点(2位)とバランスよく得点をあげ、総合力で他社を上回った。
過去のランキング上位には、電機、自動車など大型製造業が居並ぶ。ドコモは昨年初めて非製造業でベスト3に入ったが、今回はさらに順位を上げてトップに立った。
直近の決算など、勢いではソフトバンクの後塵を拝するドコモだが、同社のCSR活動には、「一人ひとりに」、「安定した品質で」、「安心・安全を実現して」、「地球環境を守りながら」の4つの重点テーマが設定されている。利便性の高い携帯電話には、「振り込め詐欺」や「ながらスマホ」といった問題が起きる危険性もはらむ。国内携帯トップクラスの企業として、こうした問題をできるだけ解決する教室開催などを重視する。
基地局など電気を多く使う事業であることを自覚し、環境問題の改善にも積極的だ。2013年4月からは、災害に強く環境にもやさしい「グリーン基地局」を設置。自然環境保護活動の一環として全国で進める「ドコモの森」づくりでは、地域NPOや地域ボランティアと連携するなど、地域との信頼関係向上にも努力する。
盤石の取り組み体制だが、女性活用には課題も
災害時のかけがえのないインフラ提供者として、地震、水害、感染症大流行などを想定したBCP(事業継続計画)の策定には、万全の体制を敷く。全社横断的なリスク管理に関する基本的事項は「リスクマネジメント規定」で制定し、危機管理活動の強化を図っている。
近年、世界的に取り組みが求められている人権面も、人権啓発推進委員会を中心とした体制を構築。65歳までの希望者の全員雇用、障害者雇用率は法定を上回る2.05%、有給休暇取得率86.5%、3年後新卒定着率98.8%など先進企業としてふさわしい数字がズラリと並ぶ。
ただ、女性活用は管理職2.5%、部長1.9%など改善の余地は大きい。「女性主査比率10%、女性採用比率30%」などの目標を掲げ、取り組みを進めているが、大きな課題といえそうだ。
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