業種別トップもいくつか入れ替わった。機械で三菱重工業からコマツ、電気機器・精密機器でソニーからキヤノン、輸送用機器でトヨタ自動車から日産自動車、その他製品は大日本印刷から凸版印刷、小売業でイオンからセブン&アイ・ホールディングスと、各業種の代表選手同士の激しいトップ争いが繰り広げられている。
各業種とも大手企業がずらりと並ぶ中、やや異色なのがNECフィールディング。サービス業で3年連続首位を保ち、総合92位までランクを上げた。ただ、同社はNECの完全子会社となり夏には上場廃止となる見込みで、業種ランキング首位の座も今回限りとなりそうだ。
非財務データが「よい会社」の重要な判定要素に
さて、CSRがCorporate Social Responsibilityの略であることは、今や説明の要もないほどの浸透ぶりだが、投資の世界では違った略語がある。まだ一般にはなじみが薄いかも知れないが、「ESG投資」ということばを聞いたことがないだろうか。CSRの3つの側面、環境(E)、社会(S)、ガバナンス(G)の頭文字を取ったものだ。
4月にはEUで、従業員500人以上の上場企業や大企業に非財務データの開示を義務づけることが決まった。開始は各加盟国の法制化後になるため数年後の見込みだが、今後アジアなどにも同様の制度が広がる可能性も高い。
また、財務とCSRを同時に掲載する統合報告書の公表も増え、財務面だけでなく非財務面も含めて企業を評価する動きは着実に広がっている。株式投資、就職先、取引先選びといったさまざまな局面で、CSRを重視した「よい会社」をどう見るかという視点はさらに求められていきそうだ。
財務とCSRの両面から総合評価を行うことを特色とする東洋経済CSR企業ランキング。新しい企業評価手法へのニーズの高まりと、時代の変化に対応しながら、評価担当チームでは、今後さらによりよいものにしていきたいと考えている。
企業評価の新たな視座として浸透してきたCSR(企業の社会的責任)。上場企業をはじめ有力1210社におけるCSRの取り組みを、国内最大規模のデータベースから各企業個別に紹介した、日本で唯一の刊行物。
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