不妊治療中の女性を苦しめる「会社の余計な配慮」 制度だけでなく社内の風土づくりも重要だ

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一方、仕事と治療との両立で悩む本人にできる工夫もある。

ファミワンにも所属する公認心理師・臨床心理士で、不妊治療にまつわるカウンセリングも行う戸田さやか氏は、会社に対して「何を伝え」、「何を伝えない」かが重要だという。

とくに不妊治療がうまくいかず気持ちが焦っているときには、自分の悩みや苦しい気持ちまでを職場の担当者に吐露してしまうことがある。担当者は不妊治療の専門家ではないため、本人の思いを受け止めるのは難しい。

まず自身の感情と伝えるべき情報を整理する

そうした事態を避けるためには、まず自身の感情と伝えるべき情報を整理する。例えば、どのような治療をしていて、いつ、どのくらい休みが必要なのか。どのくらいであれば働くことができるのか。自分は仕事と治療を両立するためにどのような努力をしているのか、といった点を踏まえると、職場側もできる支援が明確になり協力体制がつくりやすくなるのだ。

戸田氏は「治療のことは必ずしも職場に伝える必要はありませんが、休みのやりくりが難しくなったりすれば、伝えなければならないときもあります。そうしたときにどのようなコミュニケーションをとるかも大切です」と言う。職場に伝えることで得られるメリットがある場合には、こうした方法で伝える選択肢もあるだろう。

不妊治療をしているかどうかは、一見しただけではわからない。自分には関係のないことだと感じていても、実は身近にサポートを必要とする同僚や部下がいるかもしれない。

不妊治療中の本人やパートナーにとって働きやすい環境づくりは、ほかの従業員にとっての働きやすさにもつながるはずだ。

(3日目第2回は禁欲期間長いと妊娠率低い「男性不妊」意外な盲点

辻 麻梨子 ジャーナリスト

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つじ・まりこ / Mariko Tsuji

1996年生まれ。早稲田大学卒。非営利の報道機関「Tansa」で活動。現在はネット上で性的な画像が取引される被害についてシリーズ「誰が私を拡散したのか」を執筆している。

 

 

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