不妊治療中の女性を苦しめる「会社の余計な配慮」 制度だけでなく社内の風土づくりも重要だ

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「Aさんも大変みたいだね」

直属の上司にしか伝えていないはずの不妊治療のことが、中間管理職を通じ役員にまで広まっていたのだ。

「勝手に個人的な話を広められたショックに加え、不妊治療をしていると言っただけで、近いうちに妊娠・出産で休暇を取るとみなされたようです。実際、子どものいるママさんたちは、ことごとく大きな仕事から外される職場でした。妊娠していないときからもそうした扱いを受けたことに納得がいかず、精神的にもつらかったです」(Aさん)

人事部に相談することも考えたが、再び相談内容が筒抜けになることを恐れて言うことができず、やむなく転職を決意した。

従業員の離職防止や働きやすい環境づくりの一環として、不妊治療のための福利厚生制度を取り入れる会社は増えつつある。だが、個人的な治療の状況を職場に共有したくない従業員は多く、どのように支援するかが難しいのも実情だ。

不妊治療経験のある労働者の3割強が仕事と両立できず

厚生労働省の平成29年度「不妊治療と仕事の両立に係る諸問題についての総合的調査」によると、約7割の会社で不妊治療を行っている従業員の把握ができていない。一方、同じ調査で不妊治療をしたことがある労働者のうち、35%は仕事との両立ができず、仕事や不妊治療をやめたり、雇用形態を変えたりしていることがわかった。

厚労省は2020年に事業主や人事部向けに、不妊治療と仕事の両立マニュアルを公開。職場が取り組める支援策として、休暇や休職制度、フレックスタイムやテレワーク制度の導入、治療費用の助成や社内への啓発活動などを挙げている。

LINEでの妊活相談コンシェルジュサービスや、企業の福利厚生のサポートを行うファミワン代表の石川勇介氏は、「妊活や不妊治療への支援は『会社として取り組むべきものの1つだ』と認識する企業が増えてきています」と話す。

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