「健康食以外口にしない人」に疑われる障害の正体 「健康志向」と「オルトレキシア」の決定的違い

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「患者さん自身、『私のこだわりは、少しいきすぎてる』と思いながらもやめられないのが、強迫性障害の共通する特徴です。ただ、オルトレキシアではよいことだと思ってやっているので、その自覚があまり強くありません。そのため一般的な健康志向と病気の境目が非常に曖昧です」(立川さん)

親がオルトレキシアで子どもに…

もちろん、本人が「いきすぎてる」と思わず、かつ日常生活に支障を感じないのであれば、それは「食へのこだわり」の範疇なので、さほど問題はない。

一方で立川さんが危惧するのは、親がオルトレキシアで子どもに自分と同じ極端な食事を摂らせているケースだ。子どもの病気を改善させようとするあまり、母親がオルトレキシアになった例もあるそうだ。

「基本的に食育は親が担っているので、子どもを守る手段を私たち医療者は持ちえていません。周りが気づいて親のこだわりを徐々に解いていく、あるいは親が専門医による治療を受けるかしか、子どもを助ける方法がないのです」

ここまで読んで「もしかしたら、オルトレキシアかも?」と思った人のために、立川さん監修のチェックを紹介したい。

<オルトレキシアのチェック票>
1 1日のうち3時間以上の時間を、健康的な食事について考えてしまう(意識に上がってしまう)
2 翌日の献立(自分の基準を満たす完璧な)を考えてしまう(意識に上がってしまう)
3 食事がより健康的になるにつれ、生活の質が低下している(生活に不都合が出てくる)
4 自分自身、自分の決めごとに厳しすぎると感じる
5 健康的な食事をすることで、自尊心が上がっていく
6 健康的な食事をしていない人を見下してしまう
7 (自分にとって)正しい食事を摂るために、大好きな食べ物を犠牲にする
8 自分が決めた食事をすることで、家庭での食事に支障が出たり、家族や友人と距離が開いたりしている
9 普通の食事をしたら、罪悪感や自己嫌悪感を覚える
10 食べる行為を、自分で完全にはコントロールできていない

立川さんによると、とくに何個以上という基準はないが、6個程度当てはまったら単なる健康志向を逸脱している可能性があるという。

「このほか、チェックリストには載っていませんが、自分が思う健康的な食生活を始めてから体調が悪くなった(疲れやすい、すぐ息が切れる、肌の調子が悪い、集中力がなくなったなど)場合は、栄養状態に問題が生じている恐れがあります。内科などで健康状態を見てもらったほうがいいでしょう」(立川さん)

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