「健康食以外口にしない人」に疑われる障害の正体 「健康志向」と「オルトレキシア」の決定的違い

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もちろん、健康志向が強まる昨今、食へのこだわりそのものは本人の嗜好やライフスタイルに大きく関わる部分でもあり、決して悪いことではない。だが、それがいきすぎるとなると、話は別だ。

健康志向とオルトレキシアの違い

それでは、単なる健康志向とオルトレキシアを分ける基準はなんだろうか。

「まず、食にこだわるあまり、友人や恋人と外食ができなくなる、食事に誘われても断るようになるなど、日常生活や人間関係に支障が出ている場合は、オルトレキシアの可能性が高い。また、食事のこだわりによって、かえって健康状態が悪くなっている場合もあります」(立川さん)

健康な食事を心がけているのに、健康を損なわれる? はたしてそんなことがあるのだろうか。立川さんは「オルトレキシアの人が〝健康食〟と思い込んでいる食事の中には、〝科学的根拠(エビデンス)に基づいてないもの〟も含まれています」と指摘する。

科学的根拠とは、医学の世界で診療や治療を行うための裏付けのことをいい、近年広く注目されている考え方だ。そして、最近では「トクホ(特定保健用食品)」や「機能性食品」などが出てきたように、食の世界でも重視されつつある。

だが、ネットなどのメディアで紹介されている健康情報の中には、こうした科学的根拠に基づかないものも少なくない。

「オルトレキシアの人は、ネットの情報を適切に取捨選択することが苦手だったり、目の前の情報が正しいと思い込みやすい傾向があります。こだわりが強いあまり、目の前の情報にとらわれて、周りを俯瞰できにくいんです」

こうしたことから、立川医師はこのオルトレキシアは摂食障害というよりも、強迫性障害の要素がかなり強いのではないかと考える。

強迫性障害とは、簡単にいえば「その行動や考えが、不合理でバカバカしい行為だとわかっているのに、やめられない状態」のこと。よく知られているのは清潔志向が強すぎて何時間も手を洗ったり、過剰にアルコール消毒したりする不潔恐怖(潔癖症)や、家のカギや火の始末を何度も確かめる確認恐怖だろう。

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