プロ野球キャンプ「沖縄本島に集中」進む切実事情 コロナ禍で離島部でのキャンプ実施球団は少数に

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糸満市観光・スポーツ振興課の担当者はキャンプ受け入れの狙いを説明する。

「糸満市では、市民のスポーツ参画人口の拡大および経済波及効果などに資する目的で、2021年11月29日に糸満市スポーツキャンプ等受入協力会を設立し、糸満市経済団体協議会やスポーツ団体などの各種団体と連携を図っています。

選手・スタッフなどのキャンプ参加者のみならず、県外観客やマスコミの宿泊・飲食・娯楽・レジャー費などの消費支出が期待され、コロナ禍により影響を受けた本市経済の早期回復の要素になりうるものと考えています。

選手の受け入れに際しては、感染予防の観点から選手動線と観戦者動線の分離を徹底し、観戦希望者には受付の際に消毒・検温・健康シートの提出・感染拡大防止対策のためのチラシを配布しました。また、選手およびチーム関係者が安心してキャンプを実施していただけるよう更衣室・ベンチ・トイレなどを光触媒コーティングしました。

春季キャンプを実施することでプロのプレーを間近で見られることに加え、野球教室などでの選手との交流により子どもたちに夢と希望を与え、青少年の健全育成に大きく寄与するものと考えています。また、テレビ・新聞等の報道による本市のPR効果で、観光産業を中心とした地域活性化に大きく寄与するものと期待しています」

プロ野球春季キャンプをめぐる、離島部と沖縄本島の綱引きは、今後も続くと思われる。

プロ野球はコロナ前のように戻るのか

今年、沖縄本島では以下のチームが春季キャンプを実施した。

糸満市 ロッテ(一軍、二次)
那覇市 巨人(一軍、二次)
浦添市 ヤクルト(一軍)
宜野湾市 DeNA(一軍)
嘉手納町 DeNA(二軍)
北谷町 中日(一軍)
読谷村 中日(二軍)
沖縄市 広島(一軍、二次)
宜野座村 阪神(一軍)
名護市 日本ハム(一軍)
国頭村 日本ハム(二軍)

各キャンプ地からの移動は、車で1時間内外。圧倒的にアクセスが良い。

沖縄県のまん延防止等重点措置は2月20日まで行われていたが、キャンプ中盤以降は2年ぶりに「球春来る」という明るい空気が漂っていた。

浦添市のヤクルトキャンプではOBの古田敦也氏が打撃投手を買って出てファンを沸かせていた。

ビッグボスこと日本ハムの新庄剛志新監督は、沖縄本島最北部の国頭村から沖縄自動車道で本島各地のキャンプ地を訪れて話題を振りまいた。2月15日には巨人がキャンプを張る那覇市のセルラースタジアムで練習試合を行い、4000人の観客の前でパフォーマンスを披露した。

DeNA新設のブルペンで投げる山﨑康晃投手(写真:筆者撮影)

宜野湾市のDeNAキャンプは、メイングラウンドの「アトムホームスタジアム宜野湾」近くに新たなブルペンが完成し、主力投手が投げ込みを行っていた。2月終盤からオープン戦が始まったが、今年は感染対策は実施しているものの客席に間隔をあけることなく、フルで観客を入れている。

プロ野球界は「脱コロナ」に大きく舵を切ったという印象だ。今年のプロ野球はコロナ前に戻るのだろうか?

広尾 晃 ライター

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ひろお こう / Kou Hiroo

1959年大阪市生まれ。立命館大学卒業。コピーライターやプランナー、ライターとして活動。日米の野球記録を取り上げるブログ「野球の記録で話したい」を執筆している。著書に『野球崩壊 深刻化する「野球離れ」を食い止めろ!』『巨人軍の巨人 馬場正平』(ともにイースト・プレス)、『もし、あの野球選手がこうなっていたら~データで読み解くプロ野球「たられば」ワールド~』(オークラ出版)など。

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