プロ野球キャンプ「沖縄本島に集中」進む切実事情 コロナ禍で離島部でのキャンプ実施球団は少数に

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ヤクルトキャンプで打撃投手を務める古田敦也氏(写真:筆者撮影)

今年になってから、沖縄県はオミクロン株の爆発的な感染拡大に見舞われた。米軍基地からもたらされたとも言われ、1月15日には1825人が新規感染者として報告された。全国でも屈指の深刻な状況だったが、今年のプロ野球春季キャンプは「有観客」で行われた。

キャンプの受け入れ先の沖縄県文化観光スポーツ部スポーツ振興課の担当者は、以下のように態勢が万全だったことを強調する。

「NPBや受入市町村、各キャンプ地の協力会と連携しながら、地域や選手等の関係者に感染を拡大させることなく、安全・安心にキャンプが実施できるよう感染防止対策を徹底して準備を進めてきました。

各球団では週2回以上のPCR等検査の実施や、球場における受入市町村等と連携し感染防止対策を実施しており、県では体調不良者が発生した場合に対応いただく提携医療機関の確保等医療サポート体制を整えました。また、各球場の感染防止対策を確認するため全球団から県へ感染防止安全計画書を提出いただき、助言等を行いました」

筆者も2~3日おきにPCR検査をしながら沖縄各地を回った。

春季キャンプの「沖縄本島への集中」が進行

「消えた『宮崎キャンプ特需』再生への厳しい道のり」でも紹介したように、コロナ禍以前から、プロ野球春季キャンプは「沖縄への一極集中」の流れがあった。また沖縄では離島でのキャンプも行われていたが、「沖縄本島への集中」が進行している。

那覇空港(写真:筆者撮影)

離島部でプロ野球キャンプを実施すれば選手、球団スタッフや報道陣などが押し寄せ、感染リスクが高まる。医療施設も充実していない離島部で感染が拡大すれば、住民生活にも影響が及びかねない。

東北楽天ゴールデンイーグルスは2004年の創設以来、久米島でキャンプを実施してきた。田中将大も沖縄本島から西100㎞のこの島で、プロ選手として始動した。久米島空港には創設以来の楽天の歴史の展示が誇らしげに飾られていた。

しかしコロナ禍によって、昨年から春季キャンプは沖縄本島の金武町に移行され、久米島では「楽天はもう島に帰ってこないのではないか」と危惧する声が広がっていた。

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