再評価される「モーニング娘。」の強さとは? AKB48との決定的な違い、つんく♂の思い

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ですから、同じように素人っぽい女の子がけっこうな大人数で歌い踊るグループといっても、おニャン子クラブとモーニング娘。では、その仕組みはかなり違います。

おニャン子クラブの場合は、メイン番組である「夕焼けニャンニャン」内のオーディションで選ばれると、翌週には新メンバーとして番組に出ていました。しかし、モーニング娘。では、オーディション合格後、半年程度の厳しいレッスンを経て、モーニング娘。の名に恥じないクオリティを身に付けて、ようやく舞台に上げてもらえる厳しい育成システムが採用されました。

そうした運営の狙いとメンバーの努力の賜物として、おニャン子クラブのダンス、というか、ダンスと呼べる代物ではなかった、あの「振り付け」と比べものにならない、高度なダンスパフォーマンスを、モーニング娘。は演じられるようになったのです。

モーニング娘。からハロープロジェクトへ

クオリティの確保とともに、モーニング娘。を生み出したつんく♂とアップフロントエージェンシーが狙ったのが、アイドルグループそのものの展開方法の改革でした。そこでは、これまでのさまざまな成功モデルが参考にされています。

モーニング娘。は、1997年にテレビ番組「ASAYAN」から登場した、企画アイドルグループです。「企画」というのは、本来のオーディション合格者ではなく、その敗者だけを集めて作ってみたグループだったからです。しかし、1998年に「抱いてHOLD ON ME!」、1999年には「LOVEマシーン」の大ヒットを世に出し、時代を代表するアイドルグループの座につきます。

その過程で、モーニング娘。には成長し続けるグループとしての設計が追加されていきます。まず、モーニング娘。は「加入と脱退(卒業)を繰り返しながら進化していくグループ」と規定され、現在に至るまでのメンバー入れ替えシステムが創設されます。

個別の「商品」から「ブランド」へ

このメンバー入れ替えシステムは、つんく♂自身のコメントでは、プエルトリコの男性アイドルグループ・メヌードを参考にしたということですが、おニャン子クラブでも採用されていますし、また宝塚歌劇団もその淵源にあります。いずれにせよ、これによってビジネスの核はアイドル個々人から、アイドルを総称するグループ名に移っていくことになります。これをビジネス的目線から評するなら、個別の「商品」から「ブランド」へ、と言ってもいいでしょうか。

そして、この目線をひとつのアイドルグループから複数のグループへ、もう一段、抽象化する戦略が、「ハロープロジェクト」として打ち出されます。モーニング娘。は、モーニング娘。というひとつのグループから、カントリー娘。やBerryz工房、℃-ute、スマイレージといったいくつものアイドルグループを抱えるハロープロジェクトという大きなアイドルグループファミリーの枠の中のトップユニットへと変化したわけです。

前回のAKB48の項でも触れたグループの垣根を越えた企画グループ(いわゆるシャッフルユニット)も、このハロープロジェクトの中で盛んに開発されました。これにより、アップフロントエージェンシーとしては、一人ひとりのアイドルや一つひとつのアイドルグループの人気の浮沈による、経営への影響を最小化することができます。これも、ジャニーズ事務所のビジネスモデルが大いに参考にされています。

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