AKB48をある種のマスゲームとして以上に楽しむためには、グループ編成をめぐるこれまでのさまざまなドラマや、メンバーのキャラを理解する必要があります。これは日本にいるわれわれには自然にできることなのですが、実は、海外で生きる外国人にはなかなか厳しい条件なのです。なにせこんなにAKB48のことを自国メディアは伝えませんし、さらに外国語という条件もあります。もちろん、JKT48やSNH48があるマレー語圏、中国語圏ならいいのですが、英語圏やスペイン語圏だとかなり厳しい。
しかし、モーニング娘。には、その歌とダンスのクオリティという武器があります。YouTubeをはじめとしたネットメディアが、人々をグローバルにつないでいる現代において、言葉がわからなくても、キャラがよくつかめなくても、そのパフォーマンスで魅了できる彼女たちは、ある意味、グローバルスタンダードに最も接近したアイドルだと言えるかもしれません。
パフォーマンスで魅せるガールズグループとしては、KARAや少女時代といった韓国のガールズグループもそうなのですが、それをスラリと伸びた四肢や美人ルックスといった欧米流ではなく、あのかわいさ、あのキャラ、そういうニッポンのアイドルの魅力を備えたままで発揮できる力は、まさにモーニング娘。の真骨頂だと言えましょう。
こんなふうにあらためて考えてみると、モーニング娘。は、新しいアイドルを生み出そうというつんく♂たちの思いが生み出したアイドルグループであったと言えるでしょう。その考えが間違っていなかったことは、それを現在のメンバーまで含めて歴代メンバーが大事に育てていくことで、17年の歴史を刻み、そして海外までファン層を広げられたことが物語っているように思います。
これとAKB48のケースを見比べてみれば、こういってしまえば当たり前のことなのですが、現代アイドルの成功する戦略と工夫は、たったひとつの解に収斂するわけではない、ということなのだと思います。
次回は、こうしたモーニング娘。が切り開き、AKB48が覇者となった現代アイドル市場に突如として現れた変種、ももいろクローバーZについて触れたいと思います。
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