再評価される「モーニング娘。」の強さとは? AKB48との決定的な違い、つんく♂の思い

✎ 1 ✎ 2 ✎ 3 ✎ 4 ✎ 5
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

AKB48をある種のマスゲームとして以上に楽しむためには、グループ編成をめぐるこれまでのさまざまなドラマや、メンバーのキャラを理解する必要があります。これは日本にいるわれわれには自然にできることなのですが、実は、海外で生きる外国人にはなかなか厳しい条件なのです。なにせこんなにAKB48のことを自国メディアは伝えませんし、さらに外国語という条件もあります。もちろん、JKT48やSNH48があるマレー語圏、中国語圏ならいいのですが、英語圏やスペイン語圏だとかなり厳しい。

しかし、モーニング娘。には、その歌とダンスのクオリティという武器があります。YouTubeをはじめとしたネットメディアが、人々をグローバルにつないでいる現代において、言葉がわからなくても、キャラがよくつかめなくても、そのパフォーマンスで魅了できる彼女たちは、ある意味、グローバルスタンダードに最も接近したアイドルだと言えるかもしれません。

パフォーマンスで魅せるガールズグループとしては、KARAや少女時代といった韓国のガールズグループもそうなのですが、それをスラリと伸びた四肢や美人ルックスといった欧米流ではなく、あのかわいさ、あのキャラ、そういうニッポンのアイドルの魅力を備えたままで発揮できる力は、まさにモーニング娘。の真骨頂だと言えましょう。

こんなふうにあらためて考えてみると、モーニング娘。は、新しいアイドルを生み出そうというつんく♂たちの思いが生み出したアイドルグループであったと言えるでしょう。その考えが間違っていなかったことは、それを現在のメンバーまで含めて歴代メンバーが大事に育てていくことで、17年の歴史を刻み、そして海外までファン層を広げられたことが物語っているように思います。

これとAKB48のケースを見比べてみれば、こういってしまえば当たり前のことなのですが、現代アイドルの成功する戦略と工夫は、たったひとつの解に収斂するわけではない、ということなのだと思います。

次回は、こうしたモーニング娘。が切り開き、AKB48が覇者となった現代アイドル市場に突如として現れた変種、ももいろクローバーZについて触れたいと思います。

(お知らせ)
新刊『アイドル国富論――聖子・明菜の時代からAKB・ももクロ時代までを解く』好評発売中です! 
境 真良 国際大学GLOCOM客員研究員・経済産業省国際戦略情報分析官(情報産業)

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

さかい まさよし / Masayoshi Sakai

国際大学GLOCOM客員研究員、経済産業省国際戦略情報分析官(情報産業)
1968年東京都生まれ。学生時代よりゲームデザイナー、ライターとして活動し、1993年に東京大学を卒業、通商産業省に入省。経済産業省メディアコンテンツ課の起ち上げに課長補佐として参画。その後、東京国際映画祭事務局長、早稲田大学大学院客員准教授、(株)ドワンゴ等を経て、現職。専門分野はIT、コンテンツ、アイドル等に関する産業と制度。TwitterID:@sakaima。著書に『テレビ進化論』(講談社、2008年)、『Kindleショック』(ソフトバンククリエイティブ、2010年)『アイドル国富論』(東洋経済新報社、2014年)ほか。モノノフ。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事