春眠暁を覚えず、の季節です。
治療院には睡眠に関する悩みをお持ちの患者さんが数多く来院されます。特に春先は、「寝ても寝ても眠い」というご相談が増えます。漢方における理想の睡眠とは、「日中に体をほどよく使うことで、夜は自然と眠りにつく」というもので、冬以外は日の出の前に起床します。
江戸時代の儒学者である貝原益軒は著書の『養生訓(巻第一の28)』で、「睡眠欲は食欲、性欲と同様にむさぼってはならず、抑えるべき欲である」と語っています。そして「睡眠を少なくすることが養生の道であることは、多くの人は知らない」と述べ、その理由を「ねぶり(睡眠)を少なくすれば無病になり、元気がめぐる。ねぶりが多ければ、元気がめぐらずして、病となる」としています。
「睡眠時間は長いほどよい」は間違い
ところが、意外と「連続して8時間ぐらい寝られないと不眠」と思っている患者さんは多く、睡眠時間は長ければ長いほどよいと考えている人もいます。
人はそれぞれ睡眠時間が異なり、8時間以上必要な人もいれば、3〜4時間で足りてしまう人もいます。3時間の睡眠でも翌日元気に過ごせれば問題ありませんし、10時間寝ても満足感がなく、翌日の仕事や学業に支障があれば睡眠障害の可能性があります。
では、なぜいくら寝ても眠いのでしょうか。それは睡眠の質が悪いからです。そこで睡眠の質を下げる要因を以下に挙げてみました。当てはまるものが1つでもあれば要注意です。
睡眠の質を下げる要因
●夕食はたっぷり食べるほうだ
●寝酒を飲む習慣がある
●枕元にスマホを置いて寝ている
●8時間は眠らないと体に悪いと思う
●カフェインの入った飲料をよく飲む
●入浴はシャワーだけが多い
●運動不足である
●昼寝を30分以上することが多い
良質の睡眠を取るためには、養生が大切です。どんな養生を心がければよいか、説明していきましょう。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら