「いつも眠い・眠れない」は漢方的ケアでスッキリ 「肝」に集まる「血」のめぐりが睡眠の質を決める

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その4:入眠しやすい入浴を心がける

入浴の仕方も睡眠に大きな影響を与えます。

眠りにつくときには、体の奥の体温(深部体温)を下げる必要があります。深部体温が大きく下がるほど入眠しやすくなり、眠りの質もよくなります。そのためには、まず深部体温を上げることが大事で、有効なのが入浴です。

おすすめは「就寝する90分ほど前に、ぬるめのお湯(40度以下)に10分程度つかる」という入浴法。風呂から上がった後、90分ほどで深部体温が下がり、入眠しやすくなります。

デスクワークの人は不眠を訴えがち

その5:ほどよく体を使う

冒頭でも紹介しましたが、「日中に体をほどよく使うことで、夜は自然と眠りにつく」という考え方は、現代にも通じます。

治療院には、農家や鳶職、大工など、肉体労働をされている患者さんも来院されます。そういう人はあまり不眠を訴えません。一方で、デスクワークばかりで体を使わない人は、不眠を訴えがちです。

とくに今はコロナ禍で通勤(によって体を動かすこと)がなくなり、不眠になる例が増えています。やはりこういう場合は、意識的に体を動かすことが大事です。買いものは車などを使わず歩いていく、ペットの散歩などをまめにするなど、体を動かす工夫をされている方がけっこういますね。

その6:昼寝で夜の眠りの質を高める

夜の眠りが浅いと、昼間どうしても眠くなります。睡眠不足を感じている人は、イスに座った状態で15分程度、長くても30分以内の仮眠をおすすめします。朝の二度寝や、30分以上横になった状態で行う昼寝は、いずれも夜の睡眠の質を悪化させる原因になります。

以上、睡眠の質を上げる養生法を紹介しましたが、睡眠の質を向上させる漢方薬もあります。私たちが不眠のファーストチョイス(第1選択)として用いているのが、「酸棗仁湯(さんそうにんとう)」という漢方薬です。

面白いことに、漢方では眠れないときも、眠り過ぎるときも、同じ漢方薬を処方します。

酸棗仁湯について書かれた『金匱要略(きんきようりゃく)』という古典には、「体力や気力が消耗していて、疲れ果てているのに眠れない」症状に使うと記載されています。酸棗仁湯は健康保険が適用される医療用漢方製剤で、市販薬としても販売されています。ドラッグストアなどで購入する際は、薬剤師などに相談してみましょう。

少しマニアックな話になりますが、処方名に使われている主薬(メインとなる構成生薬)の酸棗仁は、ナツメの仲間であるサネブトナツメの種のことで、肝の血を補う作用があるとされています。

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