実はスギと違う?「ヒノキ花粉症」への漢方的対処 目のかゆみや咳がひどい人は一度チェックを

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強烈な目のかゆみ。それ、もしかしたらヒノキ花粉症かも?(写真:TY /PIXTA)

花粉症といえば、多くの人はスギ花粉を思い浮かべるかと思います。しかし、今からゴールデンウィークぐらいにかけては、ヒノキ花粉による花粉症の患者さんが増えてきます。

スギ花粉が2~4月ぐらいに飛散するのに対し、ヒノキ花粉はそこから約1カ月程度遅れて3月末~5月のゴールデンウィーク過ぎぐらいまで飛散します。ですから、今の時期に症状が出ている方の場合は、ヒノキ花粉症を患っている可能性が高いです。

ちなみに、スギ花粉症の方はヒノキ花粉にも反応する"交差反応性"を示すことも少なくありません。実際、スギ花粉症患者さんの70%がヒノキ花粉でも症状が表れるといいます。

ヒノキ花粉症で表れやすい症状とは?

どちらの花粉症でも症状の表れ方には個人差があるため、症状だけでスギ花粉症かヒノキ花粉症かを見分けることはそう簡単ではありません。それでも、スギとヒノキでは花粉の構造が違うことから、症状が異なる部分もあります。

例えば、スギ花粉症は「鼻の症状」が、ヒノキ花粉症は「目やのど、粘膜の炎症症状」が強く出やすいようです。特にヒノキ花粉症は、少量の花粉でも強い咽頭症状が生じるように思います。鼻から入り込んで喉に到達することでのどのかゆみや痛みを覚えたり、咳が出たりします。

花粉症は現代病の1つなので、1000年以上の歴史がある漢方の古典には花粉症という病名の記載はありません。ただ、病名の記載はなくても、花粉症と思われる症状は古典にも多く載っています。例えば、以下のようなものです。
・鼻鼽(びきゅう) くしゃみ、鼻づまりを伴い、鼻水が出る
・鼻淵(びえん) 水のような鼻水が滝のようにあふれ出る
・膿漏(のうろう) 黄色いドロドロした鼻水が出る

ここに目のかゆみや皮膚の症状も入れると、花粉症の症状に当てはまる表現はもっと多く、それを私たちのように漢方を学んでいる人は、花粉症の治療に応用しているというわけです。

花粉症は花粉という異物を追い出すために、体に過剰な防衛反応が起こっている状態ですが、漢方の医学理論について書かれている医学書『黄帝内経(こうていだいけい)』には、「春の病気の原因は冬に作られる」とあります。花粉症はまさにその代表例といえます。

この「花粉症は冬に作られる」とはどういうことでしょうか。それを解くカギになるのが、漢方治療の治療方針です。

花粉症に限らず、漢方治療には大きく2つの治療方針があります。1つは今まさに出ている症状を抑える「標治(ひょうち)」で、西洋医学の対症療法に近い考え方になります。そしてもう1つは、症状が出やすい体質を改善して病気になりにくい体を作る「本治(ほんち)」です。こちらはまさに漢方の得意とするところでしょう。

花粉症の場合でみると、鼻水や鼻づまり、くしゃみ、目のかゆみなどを治すのが標治、アレルギー体質を改善して花粉症そのものを軽くしていくのが本治になります。

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