そのほか、川芎(せんきゅう)という生薬は肝の血流をよくし、知母(ちも)はこもった熱を冷ますことにより、入眠に必要な深部体温を下げる助けになります。茯苓(ぶくりょう)は余分な水を排出したり、精神を安定させたりします。甘草(かんぞう)は酸棗仁と同じく肝に潤いを与え、その働きを助けます。
酸棗仁湯を使うと、脳の酸欠状態が改善されて睡眠の質がよくなるので、朝起きたときがラクになることが多いです。私も睡眠時間が確保できないときなどに服用しています。
背中が痛い。その原因は睡眠問題だった?
背中の痛みで来られたある患者さんに話を聞くと、「“睡眠時間が短いと認知症になる”とテレビでやっていたから、22時には就寝して、翌朝も10時ぐらいまで横になっている」と話していました。それなのに日中は眠くて頭がぼんやりしていたのです。
背中の痛みは眠り過ぎで起こっていると考え、酸棗仁湯を飲んでもらうようお伝えし、起床時間を朝6時に変えるアドバイスをしました。すると、睡眠時間が減ったにもかかわらず、朝はすっきりと起きられるようになり、1カ月後には背中の痛みもなくなりました。これは冒頭に紹介した「ねぶり多ければ、元気めぐらずして病となる」の典型的な症例かもしれません。
春は肝の機能が不安定になりやすい時期で、睡眠の悩みが増えるのももっともなことです。こういう時期こそ養生を心がけて、睡眠の質を上げたいものです。
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