《プロに聞く!人事労務Q&A》経営悪化でパート労働者の労働時間を短縮したいのですが、給与の補てんは必要ですか?

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したがって、1日6時間勤務のパート労働者の労働時間を経営上の都合によって3時間削減した場合には、就労部分3時間に対しては3,000円を支払っていることになりますので、休業手当以上のものを支払っていることになり、特に休業手当による補償の必要はないことになります。

今回のように、経営の悪化に伴い、労働条件を引き下げるに当たっては、労働者の個別の同意を得ることが基本となります。

ただし、労働条件等を定めたパートの就業規則等を変更することによって、個々の労働者の労働契約を包括的に変更したものと見なすこともできます。そのためには、「就業規則の変更の内容が合理的であること」及び「変更後の就業規則を周知させていること」が必要となります。

なお、その就業規則の変更に合理性があるか否かは、その変更によって、
(1)パート労働者が被る不利益の程度、
(2)変更の必要性の内容と程度、
(3)変更後の就業規則の内容の相当性、
(4)労働組合等との交渉の状況、
等によって総合的に判断されます(労働契約法第10条、秋北バス事件:1968.12.25最高裁判決)。

また、経営上の都合により、労働時間およびそれに伴う賃金の引き下げを行う場合、実務的には、まず会社の経営状況やその措置を取る期間、および引き下げの程度について、十分な説明をすることが必要です。その措置期間については、一定期間を限定して実施することによりパート労働者の同意も得やすくなりますので、可能かどうかも十分検討すべきでしょう。

石澤清貴(いしざわ・きよたか)
東京都社会保険労務士会所属。法政大学法学部法律学科卒。日本法令(人事・労務系法律出版社)を経て石澤経営労務管理事務所を開設。
商工会議所年金教育センター専門委員。東京都福祉サービス第三者評価者。特に労務問題、社内諸規定の整備、人事・賃金制度の構築等に特化して業務を行う。労務問題に関するトラブル解決セミナーなどでの講演や執筆多数。


(東洋経済HRオンライン編集部)

人事・労務が企業を変える 東洋経済HRオンライン

 

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