(第37回)Made in Americaから20年の何たる変化!

(第37回)Made in Americaから20年の何たる変化!

『Made in America』というタイトルの書籍が、1989年にアメリカで刊行された(MIT産業生産性調査委員会、依田直也訳、『Made in America アメリカ再生のための米日欧産業比較』、草思社)。これはアメリカの製造業の再生を願って書かれた本である。

この当時、アメリカの製造業は、雇用者数で非農業部門の約16%を占めており、アメリカ経済全体の中で重要な役割を担う産業であった。それが日本からの輸入の洪水によって衰退しつつあることへの強い危機感が、本書の背景にある。

本書の主張は明確だ(第2章)。「製造業からサービス産業への転換は、国民経済の発展の過程として避けることのできない道であり、同時に望ましい過程であるという見方が行なわれている」。しかし、「われわれは、この考え方は間違いであると考える。アメリカのように巨大な大陸型経済は、将来とも、サービスの生産者として機能してゆくことは不可能であろう」。

そして、「アメリカは、世界の市場において、引続き製造業の分野で競争していく以外に選択の余地はない」と結論している。その理由は、「商品の輸入のためにサービスを輸出しなければならないという姿は現実的ではないということである」。

「サービス化はありえない」という主張も、そして、その理由として挙げられていることも、現在日本で言われている「モノづくりこそ日本の生きる道」という主張とほとんど同じだ。

脱工業化して繁栄を実現した米国

しかし、現実は、本書の結論とはまったく逆の方向に進んだ。これは、本連載でこれまで数字を挙げて説明してきたとおりである。改めて示せば、図のとおりだ。アメリカは、脱工業化を果たし、生産性の高いサービス産業を成長させた。そして、それゆえに、史上空前の繁栄を実現したのだ。


政治・経済の人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 映画界のキーパーソンに直撃
  • 晩婚さんいらっしゃい!
  • 日本野球の今そこにある危機
  • 買わない生活
トレンドライブラリーAD
人気の動画
イオン「フジ実質買収」で岡田会長が語った未来図
イオン「フジ実質買収」で岡田会長が語った未来図
採用担当者が嘆く「印象の悪い就活生」の共通点
採用担当者が嘆く「印象の悪い就活生」の共通点
ヤマト独走に待った!佐川・日本郵便連合の勝算
ヤマト独走に待った!佐川・日本郵便連合の勝算
ヤマダ、社長離脱でにわかに再燃する「後継問題」
ヤマダ、社長離脱でにわかに再燃する「後継問題」
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
私大トップ校の次の戦略<br>早慶上理・MARCH・関関同立

受験生確保や偏差値で高い水準を誇る関東・関西のトップ私大13校。少子化や世界との競争といった課題に立ち向かうための「次の一手」とは。大きく揺れる受験動向や、偏差値や志願倍率と比べて就職のパフォーマンスが高い大学・学部なども検証します。

東洋経済education×ICT