(第37回)Made in Americaから20年の何たる変化!

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 また、教育についても、「ゆとり教育」によって学生の基礎学力が低下し、ついには、東大の理科1類入学生にも数学の補講が必要とされるような事態に陥った。また、OJTは、伝統的業務を続ける場合には適切であっても、先端的金融業務やIT革命には対応できず、古い産業の存続を助長する結果になることがわかった。

MIT産業生産性調査委員会の副委員長(実質的には中心人物)を務めたロバート・ソローは、経済成長理論の大家であり、60年代のアメリカ経済学界の中心人物であった。87年にノーベル経済学賞を受けている。ソローは、IT革命の意義も評価しなかった。「コンピュータ時代がどこでも見られるが、生産性の統計には表れない」という言葉は有名である。しかし、この考えは、その後ジョーゲンソンらの実証分析によって否定された。90年代のアメリカの繁栄に、ITは基本的に重要な役割を果たしたのである(拙著『金融危機のルーツ』、東洋経済新報社)。

当時のアメリカと現在の日本の相違点

『Made in America』が刊行されたのは、アメリカ経済が日本からの輸出によって疲弊した時代だ。アメリカ経済のどん底の時代だったといってよい。現在の日本が新興国との競争によって疲弊している状態と、きわめて似ている。

この当時、アメリカ人は、「われわれの子孫は、われわれと同じような経済的豊かさを享受できるのだろうか?」と自問し、自信喪失状態に陥っていた。クリントンがIt,s the economy, stupid(重要なのは経済なんだぜ)というスローガンを引っさげて登場し、湾岸戦争の指導者である現職のブッシュ大統領(父)を破ったのは、92年だ。

ただし、現在の日本と比べると、大きな違いがある。今の日本では、誰もが「悪いのは政府の経済政策だ。金融をさらに緩和し、為替レートを円安に導き、法人税を減税する必要がある」として、すべての責任を政府に押しつけている。

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