ここまで、コインや指を使って設計図を描く「小ワザ」を紹介してきました。さらに、描く題材の「実物」を使う小ワザも私のレッスンに登場します。
スープ缶の基本図形は、長方形と、同じ幅の楕円形に分解できるのは、もうおわかりですね。長方形を描き、長方形の上辺に二等分される楕円形を描けば、あっという間に設計図ができます。
次に、長方形の内側に缶の底となる半楕円形を描き、元の長方形の幅から鉛筆1本分内側の場所に「しるし」をつけます。
これを長方形の上の頂点とつなぎ、底に向かって「先細り」になるよう線を引いて「奥行き感」を表現します。半楕円形を描くときに本物のスープ缶の輪郭をなぞったり、長方形や「先細り」の直線を引く際に、缶の側面をなぞったりしてもよいでしょう。
「小ワザ」で楽しく絵が上手くなる
アンディ・ウォーホルの代表作、キャンベルのスープ缶の絵を見たことがありますか? 32種類のスープ缶をプロジェクターでキャンバスに投影して、その形を描き写した作品で、ニューヨーク近代美術館(MoMA)にも展示され、世界中で話題になりました。
驚くなかれ、ウォーホルも「小ワザ」を使っているのです! 「芸術家」と呼ばれる人たちも、道具や助手の力を借りて作品をつくってきました。レオナルド・ダヴィンチもウォルト・ディズニーも見習いを雇いました。
「小ワザ」を使うからといって、けっしてズルをしているわけではないのです。マグカップの底をなぞって円を描くのも、ただ道具を使っているというだけで、邪道でもなんでもありません。
みなさんにもぜひ、「目に見えているもの」をより正確に写し取る「小ワザ」を身につけ、この先いろいろなものを自由に描けるようになってほしいのです。
そして実物が手元になくても、写真があれば絵を描くことはどこでも楽しめます。私の本には、今回紹介したようなユニークな25のモチーフが写真で掲載され、それを見ながら描いていきます。
ぜひ固定観念から解放されて、「キスラー式メソッド」で、絵を描くことをのびのびと楽しんでみませんか?
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