【産業天気図・外食】「曇り」続くも客数に底打ち機運。価格戦略の成否が注目点

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 ただ、低価格路線は中期的にみれば“功罪相半ばする”経営戦略だ。サンマルクホールディングスの片山直之社長は、「価格競争は下げるときの打撃、上げるときの打撃で往復ビンタになる」と指摘し、値下げへの参入には距離をとる。過去に値下げ競争に踏み込み自ら失敗した経験があるためだが、主力業態の既存店売上高は、前年割れと前年超えを一進一退で繰り返している。セットメニューの拡充等で客単価を上げ、挽回を期す方針だが、勝算は不透明だ。

値下げどころか、値上げに踏み切る企業もある。日本マクドナルドホールディングスは4月末以降、都内13店舗で商品単価を10~50円値上げした「新世代デザイン店舗」を展開。店内空間をより重要視することで、商品価格だけではない、トータルの顧客満足度を満たすことを企図した。ただ新店舗は足元で苦戦しており、従来は置かないことを宣言していた「100円マック」を既に6店舗で導入するなどしている。高付加価値戦略の成否は今後の動向が焦点だ。

採算を多少無視しても値下げで集客を図るのか。客単価の引き上げに挑み、客数増には当面目をつぶるのか、外食各社は難しい判断を迫られている。
(二階堂 遼馬=東洋経済オンライン) 

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